AIが観光船を操縦!エイトノットが発表、自律航行技術を導入

瀬戸内海を航行する海上タクシーに実装



出典:エイトノット・プレスリリース

船の自動運転技術開発を行うスタートアップである株式会社エイトノット(本社:大阪府堺市/代表取締役:木村裕人)は、瀬戸内海の事業者が運航する観光船へ自律航行プラットフォーム「エイトノット AI CAPTAIN」を導入したことをこのほど発表した。

同社以外の船舶への搭載事例としては2例目、観光用途の船舶への搭載は今回が初となるという。


■船を自動化する「AI CAPTAIN」導入の背景

AI CAPTAINは、全自動で安全航行を実現する小型船舶向け自律航行プラットフォームだ。目的地を選ぶだけで、AI(人工知能)が最適なルートを設定。障害物や他船をセンサーで検出し、安全に回避しながら目的まで航行する。周辺の状況に応じて適切な着岸ルートを設定し、離岸や着岸も全て自動で行う。

エイトノットは2022年度に愛媛県デジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ」に採択され、しまなみ海道大三島の総合ツーリズム施設WAKKAを運営する株式会社わっかに自律航行小型EV船をレンタルし、海上タクシー運航するという取り組みを行った。

その結果、自律航行システムとしては問題なく稼働することが確認できたものの、EV船特有の限定的な出力により、大三島周辺エリア特有の強い潮の流れに対応できなかったり、バッテリー容量が限られて航行可能ルートが限定的になったりという課題も出てきたという。

その後、2023年度も継続してプロジェクトに採択され、わっかが保有するサイクリスト専用海上タクシー(エンジン船)に自律航行システムを実装して運航することになった。自律航行システムの搭載により暗い時間帯でも安全に航行できることから、通常の海上タクシーサービスに加え、新たにサンセットクルーズも行っていくという。


出典:エイトノット・プレスリリース

■2024年に海外進出予定

クルマやエアモビリティの自動化に取り組む企業は多数あるが、船の自動化に取り組む企業はかなり珍しい。2021年3月設立のエイトノットは「ロボティクスとAIであらゆる水上モビリティを自律化する」をテーマに、小型船舶向け自律航行技術開発を中心に「海のDX」と「船舶のロボット化」を推進し、社会課題の解決を目指している。

2021年4月にDRONE FUNDを引受先とする第三者割当増資により、プレシードラウンドにおける資金調達を実施したことを発表した。2022年2月には、シードラウンド1stとして1億円の資金調達を実施した。

その後、地域に根ざした活動を強化するため、地域金融機関より資金調達を実施したことを2022年12月に発表した。2023年7月には、プレシリーズAファーストクローズを完了し、総額1.1億円の資金調達を行った。これにより累計調達額は2.9億円となった。

調達した資金は、AI CAPTAINの機能強化に向けた開発チームの増強のほか、事業拡大に伴う地方拠点の新規開設、事業開発チームの強化に用いるという。また、2024年中に海外事業立ち上げを予定しており、市場調査や現地パートナー開拓に向けたチーム組成も行っていく。


■船の自動化のパイオニア、事業をますます拡大

エイトノットは、国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)の2023年度「SBIR推進プログラム」(連結型)に係る公募に採択されたことを2023年12月に発表している。

「小型船舶向け自律航行システム開発と安全性指標の確立」を研究開発テーマとし、船舶での実証データをもとに、関連機関に対して小型船舶の無人航行実現に向けたガイドラインの提案を実施するための検証を行っていくという。

なおエイトノットは現在、事業拡大に向け採用活動を強化しているという。自律航行技術開発エンジニアや国内・海外事業開発担当者などを募集中だ。2024年に海外進出を目指す同社の、今後の国内展開や進出国での取り組みに引き続き注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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