水上モビリティの自動運転技術開発を手掛けるスタートアップである株式会社エイトノット(本社:大阪府堺市/代表取締役:木村裕人)はこのほど、2023年7月に第三者割当増資によるプレシリーズAファーストクローズを完了し、総額1.1億円の資金調達を完了したことを発表した。
これにより、累計調達額は2.9億円になったという。引受先はセイカダイヤエンジン、DRONE FUND、リアルテックファンドとなる。
■2024年中に海外事業立ち上げを予定
2021年3月設立のエイトノットは、小型船舶向けの自律航行システム開発を手掛けている。設立以来一貫して、広島県を中心とする瀬戸内海での離島地域における水上交通の社会課題解決を目指し、自律航行技術の開発を行なっている。
同社は2022年10月に、小型船舶向け自律航行プラットフォーム「エイトノット AI キャプテン」を発表した。目的地を選ぶだけで、AI(人工知能)が最適なルートを設定し、障害物や他船をセンサーで検出、航行中の危険を回避することができるソリューションで、離岸や着岸も全て自動で行うことができる。
今回の資金調達は、AI CAPTAINの機能強化に向けた開発チームの増強や、事業拡大に伴う地方拠点の新規開設と事業開発チームの強化を目的にしているという。さらに、2024年中に予定している海外事業立ち上げに向け、現地パートナー開拓に向けたチーム組成や海外市場調査なども計画しているようだ。
■7月に提携したセイカダイヤエンジンも出資
エイトノットは2023年1月に、AI CAPTAINを搭載した自律航行EV船を旅客船事業者に導入し、自律航行船による国内初の商用運行となる水上タクシーの営業運行を実施した。
また同年7月に舶用ディーゼルエンジンや航行支援機器の販売を行うセイカダイヤエンジンと資本業務提携を締結した。エイトノットの独自性の高い小型船舶向けの自律航行技術と、セイカダイヤエンジンの強みである舶用製品の販売・サービスネットワークとを組み合わせ、日本国内における迅速な事業展開を進めていくという。
今回の資金調達では、セイカダイヤエンジンが新規投資家として名を連ねており、両社の結びつきがより強固になっていることがうかがえる。
セイカダイヤエンジン取締役社長の柴﨑亨氏は「この革新的な技術は漁業者・小型旅客船など、弊社のお客様に安全面でのサポートや将来の少子高齢化社会に伴う就労者減少に大いに役立つ技術であると確信」しているとのコメントを寄せている。
■国内における事業拡大とともに
エイトノットは現在、日本国内市場において自律航行技術を用いた次世代ソリューションの提供を加速し、国内における事業拡大フェーズに移行した段階にある。
独自技術で日本の船の自動化に貢献するエイトノットだが、国内のみならず海外での活躍も期待される。今後の取り組みにも注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転船に挑戦中のエイトノット、純損失82%増の9,600万円」も参照。