無印良品を展開する株式会社良品計画(本社:東京都豊島区/代表取締役社長:堂前宣夫)は2024年2月4日までに、自動運転モビリティ「GACHA(ガチャ)」のリニューアルを発表した。
これまで行った実証実験を生かし、日本の都市交通事情に合わせたという。「2024さっぽろ雪まつり」会場で、展示と走行デモを実施することも発表した。
ただしGACHAは、米テスラなどが目指しているような「道路状況や障害物をリアルタイムに認識してどこでも走れる人間的な自動運転」ではなく、あくまで「電磁誘導式」による自動運転となっている。
ちなみに日本では、「国内初の自動運転レベル4」の運行も電磁誘導式で行われており、Google系Waymoが米国内で展開しているレベル4の自動運転タクシーとは、システムが異なる。Waymoのレベル4タクシーでは電磁誘導は行われておらず、ルートも決められていない。詳しくは「日本の自動運転「なんちゃってレベル4」で出遅れ鮮明 下山哲平の現状解説」を参照してほしい。
■歩行スペースでの走行も想定して小型化
GACHAは、少子化や高齢化が進む地域において、公共交通機関の減少などによって起こる移動の困難を解決するべく開発された。外出機会の創出やコミュニティ形成、地域の活性化に貢献することを目指している。
2022年に千葉県で実施した実証実験の結果をもとに、以前の車両サイズから車幅を約半分とした小型化の車両を採用した。従来は走行しにくい道幅や商店街などの歩行スペースでの走行を想定している。走行できるエリアやルートが増えることで、今まで以上に多様な需要に合わせた支援やサービスが見込めるとしている。
車両サイズは全長3,135×全幅1,306×全高1,830ミリで、乗車定員は4人。最大時速19キロで走行する。駆動方式はDCモーター、自動運転方式は冒頭触れたように、電磁誘導式となっている。
なお電磁誘導式とは、地中に埋設されている誘導線からの磁力線を感知し、あらかじめ設定されたルートを自動運転で走行するという仕組みのことだ。一方でテスラCEOのイーロン・マスク氏は、五感を使って運転する人間のような自動運転の仕組みを目指している。
■過去には大規模団地の敷地内を走行
旧デザインでのGACHAの走行実験は、2022年5〜6月に千葉県内最大規模の団地である花見川団地で、千葉市、UR都市機構、MUJI HOUSE、良品計画により実施された。花見川団地のリノベーションや地域活性化をさらに進め、取り組みを拡大するための事業の一環として行われた。
その際用いられたGACHAは、全長4.6×全幅2.5×全高2.8メートルであり、今回発表されたリニューアル版よりかなり大きかった。定員も16人と、リニューアル版と大きく異なっていた。
▼花見川団地を拠点とした地域生活圏活性化に関する協定の一環で自動運転バス(GACHA)の実証実験を実施
https://www.ryohin-keikaku.jp/topics/035026.html
■小型化した車両で実用化を目指す
今後、小型化した車両で実証事業を行い、実用化を目指す予定だ。なお、北海道札幌市で行われる「札幌国際芸術祭2024」において、2024年2月4~11日までさっぽろ雪まつり大通2丁目会場で作品の一部として、展示と走行デモが実施される。
現在は電磁誘導線による自動運転であるが、今後さらにリニューアルされ、センサーやレーザー、カメラ、AI(人工知能)などによる自律移動式になる可能性はあるのか。引き続き注目したい。
【参考】関連記事としては「良品計画のデザイン力!自動運転バス「Gacha」にグッドデザイン賞!」も参照。