自動運転、シニアの利用意向は「ネット利用時間」と相関関係

60代の約半数が「利用してみたい」と回答



出典:モバイル社会研究所プレスリリース

シニアを対象とした調査で、インターネット利用時間が長い人ほど、自動運転の利用意向が高いことが判明した。この調査を行ったのは、NTTドコモの社会科学系の研究所であるモバイル社会研究所だ。

調査によれば、インターネット利用時間が「4時間以上」の人の場合、自動運転を利用してみたいかについて、30%が「そう思う」「まあそう思う」と回答しており、ほかの層より高かった。


■60〜70代を対象に利用意向を調査

モバイル社会研究所は全国60~79歳の男女を対象に調査を行い、1,350の有効回答を得た。

「自動運転を利用してみたいか」という質問では、60代では約半数、70代でも3割超が利用してみたいと回答した。「そう思う」と「まあそう思う」を合計した結果では、60代前半で49%、60代後半で47%、70代前半で35%、70代後半で30%であった。

年代が上がるにつれて利用してみたい人の割合が減っており、逆に「そう思わない」「サービスが想像できない」という回答が増えていっている。

出典:モバイル社会研究所プレスリリース
■「交通の便への不満」との相関性は?

「現在の主な移動手段」「交通の便への不満」についても調査し、自動運転の利用意向との相関性を調べている。


現在の主な移動手段が自家用車の場合、自動運転を利用したいと思う人が多いことが分かった。一番少ないのがバスで、「そう思わない」が45%を占めた。自家用車、鉄道・電車、オートバイ・自転車、徒歩のみ、バスの順で、自動運転の利用意向が高→低となっている。

出典:モバイル社会研究所プレスリリース

また、交通の便への不満がある人の46%が、自動運転を利用してみたいかについて「そう思う」「まあそう思う」と回答した。

出典:モバイル社会研究所プレスリリース
■北陸・甲信越の6割が自動運転を利用したいと回答

地域別でも、自動運転の利用意向の調査結果が出されている。

自動運転を利用したいかについて「そう思う」と「まあそう思う」を合計した割合は、北陸・甲信越60%、中国・四国47%、東海42%、北海道・東北40%、関東39%、近畿35%、九州・沖縄34%という順であった。


関東には自動運転関連の開発企業が多数あり、実証実験なども頻繁に行われている。しかし、利用意向では地域別で5位という結果であった。都市部では電車などの公共交通機関が発達しており、自動運転車に頼らなくてもスムーズに移動ができるといった理由があるのかもしれない。

なお北陸・甲信越で圧倒的に利用意向が高いことについてモバイル社会研究所は、主な交通手段や交通の便への満足、インターネット利用意向、年代構成比などが関連した結果だと推察しているようだ。

出典:モバイル社会研究所プレスリリース
■まずはシニア世代をターゲットに?

若い世代の方が新しい技術などを受け入れやすいと思われがちだが、シニア世代でも自動運転を積極的に利用したいと思っている人が多くいるということが分かった。

実際、自動運転は免許返納後のシニア世代にとってより利用価値があるものだ。地方自治体では、バスなど交通手段の減少や車を持たない人向けに自動運転バスを運行しているケースもある。海外では、シニア向けタウンで自動運転車を走らせているケースもある。

引き続き、自動運転に関する調査結果が発表されたら、取り上げていきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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