ソフトバンクGの交通投資、累計損失2兆円規模 「大化け投資先」誕生に期待

ビジョンファンド1&2、エグジット前18社合計



出典:ソフトバンクグループ公式ライブ配信

ソフトバンクグループ(SBG)は2023年11月9日、2024年3月期第2四半期(2023年7〜9月)の決算説明会を行った。

ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)における「トランスポーテーション」(交通)分野の累計損失は若干縮小したが、依然として計127億ドル(約1兆9,000億円)に上り、9つのセクター別で最も大きい状況となっている。


以下の表は、SVF1とSVF2のエグジット前の投資の累計損益を示している。トランスポーテーション分野は、SVF1では126億ドルのマイナス(投資先は8社)、SVF2では1億ドルのマイナス(投資先は10社)となっている。

出典:ソフトバンクグループIR資料(※クリックorタップすると拡大できます)

▼2024年3月期 第2四半期 決算データシート|ソフトバンクグループ
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2023/earnings-datasheet_q2fy2023_01.pdf

■SVF1&2の交通分野の投資先一覧

SVF1におけるトランスポーテーション分野の投資先は、以下の通りとなっている。Aurora Innovationトヨタとも提携するアメリカの自動運転開発企業で、最近では自動運転トラックの商用ルートをアメリカで初めて開設したことを発表している。

  • ANI Technologies Private Limited (Ola)
  • Aurora Innovation Inc.
  • Auto1 Group GmbH
  • DiDi Global Inc.
  • Fair Financial Corp.
  • Getaround, Inc.
  • Grab Holdings Inc.
  • Guazi.com Inc.

SVF2におけるトランスポーテーション分野の投資先は、以下の通りとなっている。


  • NetraDyne, Inc.
  • Ola Electric Mobility Private Limited
  • Platform Science, Inc.
  • Rimac Group D.O.O.
  • Robotic Research OpCo, LLC
  • Tier Mobility GmbH
  • TRUSTY CARS PTE. LTD. (Carro)
  • Voyager Group Inc. (DiDi AV JV)
  • Zum Services, Inc.
■全保有株式価値におけるarmの構成比は24%

全保有株式価値は第1四半期の16.9兆円から第2四半期は18.4兆円に膨らみ、2023年9月にアメリカ市場に上場した半導体設計大手の英アーム(arm)の構成比が、全体の24%に上ることも明らかにされた。以下の画像をみると、構成比は全体の中で最も大きい。

出典:ソフトバンクグループ公式ライブ配信

アームに関しては、ルネサスエレクトロニクスが自動運転向けの次世代チップにアームを採用したことも紹介された。

■大化けの投資先1社で景色が一変

SVF1とSVF2の交通分野の投資については、自動運転が絡むようなディープテック領域の投資先が多い。そのため、現時点では投資損益が大きく落ち込んでいても、この中から、かつてのSBGの特大ホームランであった米Yahooや中国のアリババのような、大化けする投資先1社生まれるだけで、景色が一変する。そういった将来性に期待したいところだ。

【参考】関連記事としては「ソフトバンクGの命運握るArm、まさかの売上減!なのに株式価値は3.7兆円に上昇」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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