ソフトバンクGの命運握るArm、まさかの売上減!なのに株式価値は3.7兆円に上昇

2023年4〜6月期の決算説明会



出典:ソフトバンクグループIR資料

ソフトバンクグループ(SBG)は2023年8月8日午後、2024年3月期第1四半期(2023年4〜6月)の決算説明会を行った。決算説明会は後藤芳光CFO(最高財務責任者)が担当した。

ソフトバンクビジョンファンド(SVF)が株式の25%を保有している半導体設計会社の英Arm(アーム)について、後藤CFOは「(アメリカ市場で)上場直前」と表現した上で、売上高や株式価値の推移などについて説明した。


■Arm売上微減も、株式価値は3.7兆円に上昇

2023年4〜6月の売上高は、前年同期の7億1,900億ドルから6億4,100億ドルに微減となっているものの、「本格的な勝負はまさにこれからで、AIが本格化していく中で最先端のチップを設計する分野において圧倒的な実績を持つArm社の価値が、さまざまな形で評価されると考えている」と強調した。

SVFが保有するArmの株式価値の推移についても説明した。2022年度Q1から四半期ごとに3.0兆円、3.1兆円、2.6兆円、2.9兆円と推移しており、今年6月末時点では3.7兆円まで価値が上昇し、後藤CFOは「順調にその価値を上昇させてきております」と自信を見せた。

出典:ソフトバンクグループIR資料(※クリックorタップすると拡大できます)

ちなみにArmの高性能CPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理半導体)は、自動運転車やデリバリーロボット向けに有望だと評価されており、今後さらに株式価値が高まる可能性が高い。

■SVFの投資損益、6四半期ぶりに黒字転換

ソフトバンクビジョンファンドの投資損益については、四半期ベースで6四半期ぶりに黒字転換し、610億円のプラスだったことを強調した。


売上高は前年同期比0.9%減の1兆5,575億円だった。最終損益は4,776億円のマイナスだが、最終損益に含む為替差損は4,646億円であるため、後藤CFOは「実質トントンだね、とご理解頂ければ」と語った。

SVF1の投資先の公開企業の中で自動運転開発に注力している企業としては、米Aurora Innovationが挙げられる。IR資料によれば、2023年6月末時点の投資額は約3億ドルで、累計損失として約2億ドルを計上している状況だ。

出典:ソフトバンクグループIR資料(※クリックorタップすると拡大できます)

【参考】関連記事としては「SB孫さんの「Arm上場」で、個人投資家の老後が安泰に!?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)





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