自動運転レベル4、日本が国を挙げて「出遅れ解消」へ新組織立ち上げ

RoAD to the L4の下にコミッティ設置



経済産業省と国土交通省はこのほど、「レベル4モビリティ・アクセラレーション・コミッティ」を立ち上げることを発表した。2023年11月頃から開始予定としている。


これは2025年度までの新たな自動運転移動サービス実現に向けた環境整備のための取り組みで、経済産業省と国土交通省で進めている自動運転開発・実装プロジェクト「RoAD to the L4」の下に設置される。

アメリカ中国と比較すると自動運転レベル4の社会実装で出遅れ組の日本。実用化加速に向けたこの新組織への期待感が高まりそうだ。

■コミッティ設置の目的は?

日本政府は、2025年度をめどに国内50カ所程度での無人自動運転移動サービスの実現を目指しており、今後はより大規模で複雑な交通環境での新たな自動運転移動サービスの開始が予想される。

同サービスの早期実現に向け、事業者と関係省庁が連携し、適切な情報共有の促進などのための環境整備が必要になると考えられている。これを背景に、レベル4モビリティ・アクセラレーション・コミッティの立ち上げに至ったという。


このコミッティには、経産省や国交省のほか、警察庁、総務省、関係自治体が参加予定だ。3つのアジェンダが予定されており、「事業者からの事業概要、スケジュール説明」、「各関係省庁における課題の論点整理」、「事業の進捗状況及び各関係省庁の許認可状況の共有」となっている。

なお直近の議題として、ホンダ、米GM、GM傘下のCruiseによる合弁会社の取り組みが挙げられている。3社は共同で自動運転タクシーサービスを2026年初めから日本で開始することで合意し、サービス提供にあたり合弁会社を設立することを2023年10月19日に発表している。

▼自動運転移動サービス実現に向けた新たなコミッティについて|経済産業省
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001705326.pdf

■そもそも「RoAD to the L4」とは?

RoAD to the L4は、レベル4などの自動運転技術の社会実装を推進する新たなプロジェクトで、経産省と国交省が共同で2021年度からスタートした。この名称には、「自動運転レベル4に代表される、高度な自動運転を用いた移動・物流サービスの実現・普及に向けた道をつくる」という意味がある。なお正式名称は、「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト」となっている。


このプロジェクトでは、大きく4つの活動に取り組んでいる。「無人自動運転サービスの実現及び普及」、「先進モビリティサービスに係る人材の確保・育成」、「先進モビリティサービスに係る社会受容性の醸成」、「先進モビリティサービスの普及」だ。

無人自動運転サービスの実現及び普及では、2022年度をめどに限定エリア・車両での遠隔監視のみ(レベル4)での自動運転サービスを実現することと、2025年度までに多様なエリア、多様な車両に自動運転を拡大し、50カ所程度に展開することを目標にしている。

■ホンダ・GM・Cruiseの事業を後押しか
出典:経済産業省プレスリリース

CruiseのCEO(最高経営責任者)カイル・ヴォクト氏とホンダの代表取締役社長である三部敏宏氏は、斉藤国交相を2023年10月19日に表敬訪問した。日本での自動運転タクシーサービスなどについての意見交換が行われたようだ。

今回立ち上げが発表されたコミッティの直近の議題が、GM・Cruise・ホンダによる取り組みになるということは、3社による自動運転タクシープロジェクトについて国・政府が大きく後押しすることになるのかもしれない。日本における自動運転の実用化の動きに、引き続き注目だ。

【参考】関連記事としては「自動運転、「RoAD to the L4」とは?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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