12億、35億…からの7億!自動運転企業T2、資金調達すごい勢い

三井物産系ベンチャー、レベル4トラックで事業



出典:T2公式YouTube動画

自動運転技術を活用した次世代物流システムの構築を進める株式会社T2(本社:千葉県市川市/代表取締役CEO:森本成城)はこのほど、シリーズA追加ラウンドにて7億円の資金調達を実施したことを発表した。

2022年8月に設立されたばかりの同社だが、2023年6月のプレシリーズAラウンドで12億5,000万円、8月のシリーズAラウンドで35億円の資金調達を実施している。今回の追加ラウンドを含めての合計調達額は、54億5,000万円に上る。なかなかの勢いだ。


資金調達ラウンドには大手企業が参加しており、同社が自動運転×物流の分野において、日本国内の大本命企業になることが期待されていることをうかがわせる。

■資金調達ラウンドの参加企業は?

T2の資金調達シリーズA追加ラウンドでは、環境エネルギー投資とValuechain Innovation Fund投資事業有限責任組合を引受先にしている。

なおプレシリーズAラウンドでは三菱地所が、シリーズAラウンドでは宇佐美鉱油、東邦アセチレン、三井住友海上火災保険、三井倉庫ロジスティクス、JA三井リース、KDDI、紀陽キャピタルマネジメント、大和物流、三井住友信託銀行を引受先としている。

その際に宇佐美鉱油は、この事業参画を契機として自動運転トラックのドライバー切替えおよび車両整備を担う拠点整備に取り組むとコメントしている。またKDDIは、T2と共に自動運転トラックの遠隔監視などに適したモバイル通信の活用検討や周辺技術の開発を進めることで、T2の自動運転技術を活用した物流インフラの構築を共に推進していくとしている。


T2は今回調達した資金を活用し、日本の物流を共に支えるという大義のもと、レベル4自動運転システムの開発のほか、多様な株主・パートナーとの連携を一層推進していくという。

■物流業界の未来の変革を担うT2

T2は、AI(人工知能)開発企業のPreferred Networksの技術提供を受け、三井物産により2022年8月に設立された企業だ。

ドライバー不足が深刻な問題になっている現在の日本において、同社はレベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービスの提供を行い、日本の物流の未来を支えることを目指している。

2022年11月に、同社初の高速道路における乗用車の公道実証実験を実施した。2023年4月には、高速道路上での自動運転トラックの自律走行に成功している。


■三菱地所と次世代物流ネットワーク構築へ

2023年6月にT2と三菱地所は業務提携し、レベル4自動運転トラックの物流ネットワーク構築に向け共同開発を行うことを発表した。日本初の自動運転トラックに対応した物流ネットワーク構築に向け、T2の手掛けるレベル4自動運転トラックによる日本の幹線輸送と、その発着地点となる三菱地所が開発する次世代基幹物流施設を融合させ、シームレスな輸送を実現していくという内容になっている。

三菱地所は、京都府城陽市で次世代のモビリティを受入可能とする高速道路IC直結の「次世代基幹物流施設」の開発計画を進めており、敷地内にレベル4自動運転トラック発着拠点となるモビリティプール(車両を停車する場所)を設置する予定だという。それを今後T2が活用していく。

さらに、両社はレベル4自動運転トラックが建物内まで運行できる基幹物流施設の整備や、レベル4自動運転トラックと基幹物流施設を組み合わせた新サービスなどの共同開発を行っていくという。

■今後も資金調達は継続

今回の資金調達にあたり、T2の代表取締役CEO(最高経営責任者)である森本氏は「レベル4自動運転技術を活用することによる物流インフラの維持・向上を目指すべく人事を尽くす」と意気込みを見せている。

また、2024年問題をはじめとする物流危機を乗り越えるためには非常に多様な機能と強い想いが必要になるため、引き続き資金調達を継続し、日本の物流を共に支えるという大義に共感し、国益に資する事業を共に創造したいという有志を募っていくという。

T2が開発する物流システムが、日本の物流の未来を大きく変革することになるのか、関心が集まる。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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