フィンランド、6Gと自動運転の融合を検証 データ転送の効率化など探求

オウル大学と気象研究所が共同で実施



フィンランドで「6G」技術と自動運転車の融合を検証する研究プロジェクトが開始された。海外メディアの報道によると、「6G Visible」と名付けられたこのプロジェクトは2026年5月まで行われる予定だという。


【参考】関連記事としては「自動運転と「6G」、進化はさらに」も参照。

■官民共同プロジェクト「6G Visible」

6G Visibleは、フィンランドのオウル大学とフィンランド気象研究所が、フィンランドの政府系機関であるビジネスフィンランドのプログラム「6G Bridge」から資金提供を受けて行うプロジェクトだ。

なおオウル大学は6Gの研究で有名な大学として知られており、同大学のソフトウェア工学研究グループは、ヨーロッパ有数のソフトフェア研究ユニットの1つだ。またフィンランド気象研究所は、自動運転用にカスタマイズされた道路気象サービスの開発を手掛けている。

6G Visibleでは、自動運転や半自動運転のための6Gの技術とソリューションの導入を検討していく。また、フィンランドの自動車関連ソフトウェアビジネスをサポートするユースケースの開発なども行うという。


プロジェクトリーダーを務めるKari Liukkunen氏は「自動運転を可能にするために、拡大された交通状況情報のさまざまな情報源をどのように組み合わせ、最も効率的なデータ転送方法と情報処理方法を見つけること」が研究の目的であると語っている。

さらに同氏は「ソフトウェアや通信、コンピューティング・ソリューションは重要な問題であり、仮想と現実の交通状況の両方において、ソリューションとソフトウェア・アーキテクチャをどのようにテストできるかを模索したい」ともコメントしているようだ。

■そもそも通信規格「6G」とは?

6Gは「第6世代移動通信システム」のことで、5Gよりさらに大容量で高速通信が可能になる無線通信システムだ。「Beyond 5G」などとも呼ばれている。


自動運転の実現には、安定した高速通信が必須となる。運転の主体が人ではなくシステムになる自動運転車では、車体の状況やインフラ状況などの膨大な情報をクラウドと通信する必要があるからだ。もちろん、同時接続性も重要だ。

5Gは一般的に、「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」を特徴としているが、6Gはこれらがさらに高度化したものになる。

■日本での6G実用化は2030年代か

日本では現在、総務省がBeyond 5G(6G)の実現に向けた取り組みを推進している。実用化されるのは2030年代になる見込みだ。

ちなみにトヨタとKDDIは6G時代を見据え、過去に「街、家、人、クルマそれぞれの間での最適な通信を可能とする通信プラットフォーム」の研究開発を共同で実施することを発表するなど、各企業でも開発を行っている。

今回発表されたフィンランドの6Gに関するプロジェクト。日本そして世界における今後の6Gと自動運転の研究開発に大きな影響を与えることになるのか、注目だ。

【参考】関連記事としては「自動運転と通信」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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