中国の「自動運転指針」、百度・アリババ・華為が策定に参画

今後の展開で有利なポジション獲得か



中国政府は2023年10月10日、「自動運転を支援する高速道路設備に関する技術ガイドライン」を発表した。


中国メディアの報道によれば、この技術ガイドラインの策定に参画した企業としては、百度(Baidu)の自動運転部門、アリババ・グループ・ホールディングスの地図部門、ファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)の3社が挙げられるという。

官民共同で策定したこのガイドラインの策定に参加したことで、この3社は中国における今後の自動運転ビジネスの展開で有利なポジションを獲得できた可能性が高そうだ。

ちなみに同ガイドラインの名称は英語では「Technical guidelines for highway engineering facilities supporting automated driving」と表現されている。

■3社が自動運転ビジネスで有利な立場に?

今回策定・発表されたガイドラインには、高速道路において自動運転車がクラウドプラットフォームと交通情報を通信する際の技術指針などが含まれる。報道によれば、このガイドラインは2023年12月1日に発効する。


そのほかガイドラインには、高速道路周辺に設置される通信施設におけるセキュリティ指針なども示されており、ハッキングや情報漏洩に対する対策についても盛り込まれているようだ。

ガイドラインは中国交通運輸省が主導して策定し、高精度測位サービスの大手企業であるQianxun Spatial Intelligence(Qianxun SI)とともに、冒頭触れた3社が検討・議論に参加した。

3社は近年それぞれ自動運転事業に注力している中国の大手企業。百度は自動運転タクシーを中国国内ですでに多拠点展開している。アリババも2023年3月に中国の大手自動車メーカーである吉利汽車(GEELY)と自動運転EVの開発に向けて提携するなど、目立つ動きを見せている。


【参考】関連記事としては「中国の自動運転タクシー事情(2023年最新版)」も参照。

■官民が足並みを揃える必要がある自動運転分野

いまはまさに中国そして世界で自動運転の実用化・商用化が始まった段階であり、官民が足並みを揃えてインフラ整備・法整備に向けた取り組みを加速させることが必要な自動運転分野においては、早めに政府と近いポジションを確立できる意義は大きい。

そういった意味でも、今回のガイドライン策定に参画した民間企業がどこかという点は、大いに注目されるべきことだ。

日本でも最近、経済産業省の「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」において「自動運転支援道ワーキンググループ(WG)」が立ち上がり、8月に第1回WGが開催された。このWGの構成員はどの企業で構成されているのかは、同じような視点で関心を寄せるべき事項と言える。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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