座長はトヨタから!国の「自動運転支援道WG」、構成員を分析

普及シナリオや役割・定義の具体案など議論



出典:Flickr / DennisM2 (CC0 1.0 : Public Domain)

経済産業省が立ち上げた「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」のアーリーハーベストプロジェクトにおいて、「自動運転支援道ワーキンググループ(WG)」が設置されている。

このWGでは、同プロジェクトの1つとして位置付けられる「自動運転支援道」に関し、アーキテクチャを整理した上で、具体性を整理するとともに、その普及シナリオや役割・定義の具体案などについて議論していく。


なお自動運転支援道とは、デジタル技術を活用して自動運転車を支援するものだ。政府は2025年度までに全国50カ所、2027年度までに全国100カ所で自動運転車による移動サービスを提供する方針だ。官民による投資を通じて自動運転の社会実装を加速し、人手不足など社会課題の解決につなげるとしている。

第1回自動運転支援道WGは、2023年8月2日に開催された。このWGには、どんなメンバーが名を連ねているのだろうか。

▼「自動運転支援道ワーキンググループ」構成員名簿
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digital_architecture/lifeline_kaigi/autowg/dai1_0802/siryou_2.pdf

■自動運転支援道WGの構成員

自動運転支援道WGの座長は、トヨタ自動車・コネクティッドカンパニービジネス領域統括部長・フェローの鯉渕健氏が務めている。各企業・団体などから集まった「構成員(有識者)」は以下の通りだ。(敬称略。このほかに「構成員(関係省庁)」もいるが、省庁名・役職だけの記載のため、省く)


  • 浅井康太(株式会社みちのりホールディングス)
  • 麻生紀子(ダイナミックマッププラットフォーム株式会社)
  • 新居久朋(ソフトバンク株式会社)
  • 石田東生(筑波大学)
  • 礒尚樹(株式会社NTTデータ)
  • 榎本英彦(日野自動車株式会社)
  • 木下正昭(三菱ふそうトラック・バス株式会社)
  • 櫻井陽一(UDトラックス株式会社)
  • 佐藤浩至(いすゞ自動車株式会社)
  • 下村正樹(株式会社T2)
  • 杉井淳一(中日本高速道路株式会社)
  • 須田義大(東京大学生産技術研究所)
  • 上田貴之(日本郵便株式会社)
  • 田中奈菜子(株式会社ティアフォー)
  • 田中佑典(群馬県知事戦略部)
  • 西井茂(佐川急便株式会社)
  • 伊東義修(石川県デジタル推進課)
  • 藤村仁(東京電力パワーグリッド株式会社)
  • 細谷精一(前橋市未来創造部)
■自動運転に取り組む企業・団体から構成員

構成員となっている企業は、自動運転開発や実用化のための実証実験を行っている企業・団体ばかりだ。

ダイナミックマッププラットフォームは、自動運転やADAS(先進運転支援システム)など向けの高精度3次元データの提供を行っている。ソフトバンクやNTTデータは、企業や自治体などと協業し、自動運転関連の実証実験を多数行っている。日本の自動運転開発ベンチャーの代表格とも言えるティアフォーからも、構成員が参加している。

日野自動車や三菱ふそうトラック・バス、UDトラックス、いすゞといった自動車メーカーも、構成員のメンバーを出している。いずれもトラックやバスなどの製造を手掛ける企業だ。自動運転支援道は、まずは物流における課題解決のために活用することが想定されているためだと考えられる。また各社ともにトラックなどの自動運転化の取り組みを進めている。

みちのりホールディングスは自動運転バス実証を、日本郵便は日本初のドローンと配送ロボットが連携した実証を実施、佐川急便は関東〜関西間で自動運転トラック導入を計画するなど、物流や配送における自動運転化の取り組みに積極的だ。


2022年8月に設立されたばかりのT2は、レベル4自動運転トラックの物流ネットワーク構築に向け開発を行っている注目企業だ。

自治体からは、群馬県、石川県、前橋市が構成員が参加している。前橋市は2018年から自動運転バスの実証運行を行っており、早期の社会実装を目指している。また、レベル4の自動運転を全国で進めるために国土交通省が主導する「自動運転実証調査事業」に、群馬県の前橋市と渋川市が採択されている。

出典:経済産業省公開資料(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digital_architecture/lifeline_kaigi/autowg/dai1_0802/siryou_3.pdf
■自動運転支援道は長期計画で推進

第1回自動運転支援道WGの議事録では、座長の鯉渕氏が「本計画は10年計画のため、全てが出来上がるのも10年後となります。そのため本格的にメリットが得られるのは10年、15年、20年後となる見込み」であり、「いかに10年、15年、20年後を見据えて、2年後、3年後、5年後が続けられる案を作成できるのか」という点が重要であると発言している。

また、自動運転が無くても物流を効率化するという取り組みとセットで行う必要性や、自動運転車両と信号機の連携が重要であるといったことにも言及している。

第2回のWGは秋ごろを予定しているようだ。今後の議論の進捗に注目していきたい。

▼デジタルライフライン全国総合整備計画
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digital_architecture/lifeline.html

【参考】関連記事としては「自動運転支援道、茨城県日立市の一般道で「先行導入」へ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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