2035年、自動運転レベル3搭載は3%、レベル4搭載は6% S&P Global Mobilityが辛口予測

地域別では中国が57%で圧勝か

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出典:S&P Global Mobilityプレスリリース

米コンサルティング会社のS&P Global Mobilityによれば、2035年までに世界の新車販売台数のうち自動運転レベルの「レベル2+」と「レベル3」が占める割合は31%になるが、「レベル4」の機能を搭載した車両はわずか6%にとどまるという。普及率があまり向上しないという辛口の予測だ。

■2035年のレベル別販売台数は?

S&P Global Mobilityは、今後10年間に自動運転技術は2つの特定の分野に限定して活用されるとしている。特定地域で走行する自動運転タクシーと、個人所有の乗用車に搭載されるハンズオフ機能などのADAS(先進運転支援システム)だ。

完全自動運転であるレベル5は、2035年までには一般利用できるようにはならない。また、その後しばらくは利用できないだろうと予想している。

しかし、レベル2+とレベル3、また限定されたレベル4の機能は早期実現が可能だとしている。具体的には2035年に販売される乗用車のうち、レベル4の機能を持つ車両は6%、レベル3は3%、レベル2+は28%、自動運転機能搭載無し〜レベル2までの車両は63%となるという。

【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?(2023年最新版)」も参照。

■レベル4自動運転車は中国で普及が早い?

レベル4機能を搭載した自動運転タクシーは、米国や中国などの特定エリアにおいて導入が進んでいるが、その範囲が今後10年で大きく拡大するとは考えられないと、S&P Global Mobilityは説明している。

また同社は、2035年までにレベル4の自動運転機能を搭載した車両について、地域ごとでみた販売台数のシェアも予測している。1位が中国で57%、2位が北米で29%、3位がヨーロッパで13%、4位が日本と韓国で1%となっている。

これまでレベル4自動運転車の開発において米国がリードしてきたが、長期的には中国が販売台数を伸ばすようだ。

出典:S&P Global Mobilityプレスリリース
■自動運転タクシー実用化に「3つの段階」

S&P Global MobilityのシニアプリンシパルアナリストであるOwen Chen氏は、自動運転タクシーの開発と商業化について、大きく3つのフェーズに分類できると説明している。

第1フェーズとして、実証実験により技術開発を行い、自動運転タクシーが目標とする条件下で安全かつ確実に走行可能か確認すること。第2フェーズは、技術の最適化や統合、車両設計の改良というプロセスを経て、最終的に製造規模を拡大すること。第3フェーズは、エリアや走行条件を効率的に拡大し、収益を確保することだ。

現在は多くの企業が第1フェーズを進めている一方で、中国と米国を筆頭に、第2フェーズで規模を拡大しようとしている企業もあるともコメントしている。

■予測は大きくはずれる可能性も

今後の技術開発や規制緩和、社会受容性の高まりなどによっては、S&P Global Mobilityの予測は大きくはずれる可能性もある。レポートの詳しい内容は、以下を参照したほしい。

▼Autonomous Vehicle Reality Check: Widespread Adoption Remains at Least a Decade Away
https://www.spglobal.com/mobility/en/research-analysis/autonomous-vehicle-reality-check-widespread-adoption.html

【参考】関連記事としては「自動運転車の市場調査・レポート一覧(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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