米GM(ゼネラルモーターズ)傘下のCruiseが、車いすに対応する自動運転シャトルのコンセプトカーを発表した。2024年までにデビューする予定だという。
この車両は、Cruise、GM、ホンダの3社が共同開発している自動運転モビリティサービス専用車両「Origin」を特別に改良したものになる。今回発表したのは第1世代の車両に過ぎず、その後ユーザーからのフィードバックに基づきデザインを更新していく予定のようだ。
The transportation status quo is not only unsafe, it is inaccessible. Over 41 million Americans with disabilities deserve better transportation options.
I’m excited to introduce the @Cruise WAV, the world's first self-driving, wheelchair accessible vehicle. (1/5) pic.twitter.com/lPSLYF87TI
— Kyle Vogt (@kvogt) September 14, 2023
■車いす対応自動運転車開発の背景
車いす対応車「WAV:Wheelchair-Accessible Vehicle」は、アクセシブル車両の設計パートナー企業の支援を受け、コンセプト開発に3年を費やしたという。また、アクセシビリティに関する諮問委員会にも相談し、開発を行ってきたようだ。
なお「アクセシビリティ」とは、特に障害者や高齢者などが不自由なく利用可能かどうかの度合いを示すものになる。
今回CruiseがWAVを開発したのは、自動運転車を開発する際に、障害を持つ人々にとってアクセシビリティが優先事項になっていないのでは?という疑問が周囲から出ていることが背景になっているようだ。
■Originを改造した車両の詳細
今回発表されたコンセプトカーはOriginの改良版とはいえ、アクセシビリティを念頭に一から設計された車両になるという。車体は低い床と高い天井で、シートは取り外し可能になっており、車椅子での移動を容易にするために全て改造されている。
車体には格納式のスロープが取り付けられており、車いすのままスムーズに乗車することができる。また車内のスペースが広くなり、車いすユーザーのための留め具も装備されている。
ただし、現時点では特定の機種の電動車いすにのみ対応している。また、今後も手動の車いすの場合は、介助者の助けが必要になる可能性があるとしている。
■フォークトCEOは「世界初」と投稿
今回の車いす対応自動運転車の発表についてCruiseのカイル・フォークトCEO(最高経営責任者)は、X(旧Twitter)で「世界初」とコメントしている。また、「可能な限り多くの車いすユーザーに対応する自動運転車を設計することは、これまでにない明確な技術的挑戦である」と語った。
なおXに投稿された動画では、車両停止後に車体が低くなり、左右に開いたドアからスロープが出てくる様子などが確認できる。同氏によると、2023年10月からクローズドコースでテストが行われ、2024年から試験的に運用を開始する予定だという。
Cruiseが水面下で開発を行ってきた車いす対応自動運転車が来年デビューするか、注目だ。
▼Cruise公式サイト
https://getcruise.com/
【参考】関連記事としては「GM Cruiseの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。