トヨタら共同出資のDMP、韓国の「高精度マップ市場」に参戦

まずはADAS向けに提供の可能性

B!

自動運転向けの高精度(HD)3次元データなどを事業として手掛ける日本のダイナミックマッププラットフォーム(DMP)社は2023年7月3日、韓国事業をスタートさせたことを発表した。同社は「グローバルでの成長戦略の一環」としている。

すでに現地法人としてDynamic Map Platform Koreaを設立し、韓国で高精度マップを制作して販売・展開する計画のようだ。

ちなみにダイナミックマッププラットフォーム社の高精度マップは、日本や北米における量産車の運転支援システムですでに採用実績があるほか、ホンダが展開している自動運転レベル3の先進機能「Honda SENSING Elite」でも採用されている。

■まずはADAS向けのマップデータを提供?

展開するのは、自動運転向けの高精度マップか、ADAS(先進運転支援システム)向けの高精度マップなのかなどは明らかになっていないが、韓国の自動車メーカーの主力車種は他メーカーと同様にADAS車種であることを考慮すると、まずはADAS向けのマップデータの提供に力を入れることが考えられる。もちろん、将来的には自動運転向けのマップデータの提供も視野に入れているはずだ。

一方でプレスリリースでは、韓国では「スマートシティ向けHDマップ事業」も開始することが説明されており、自動車向けに限らずさまざまな産業のイノベーションを高精度マップの提供を通じて支援していく考えとみられる。

ダイナミックマッププラットフォーム社の韓国法人のDuane Garwood社長は、韓国における主要な事業パートナーとしてSolDriveを選んだことに触れ、「これにより我々は韓国において複数のOEMと迅速かつ効果的な取引ができる絶好の立場にいます」としている。

SolDriveについてはプレスリリースでは詳しく触れられていないが、以下の同社CEOのJoseph Woogyo Song氏のLinkedInのページによれば、以下のように説明されている。

Soldrive helps connected vehicle and services platform business settle in South Korea and Asia in compliance with local location based service regulation and Automotive OEM / Tier 1s’ requirements.(Soldriveは、韓国とアジアにおけるコネクテッドカーとサービスプラットフォームのビジネスが、現地の位置情報サービスのレギュレーションと自動車OEM/Tier 1の要件に適合するようサポートします)出典:https://www.linkedin.com/in/joseph-woogyo-song-61a57935/?originalSubdomain=kr

■北米・欧州・韓国と積極的にグローバル展開
出典:ダイナミックマッププラットフォーム社公式サイト

ダイナミックマッププラットフォーム社は、「ダイナミックマップ基盤」から社名を変更した企業だ。2016年6月に設立され、出資企業にはトヨタ日産などを含む日本のほぼ全ての自動車メーカーのほか、ゼンリンや三井物産、三菱電機などが名を連ねている。オールジャパンのマップ企業を呼んでも差し支えないだろう。

同社はすでに北米法人として2018年4月に「Dynamic Map Platform North America, Inc.」、欧州法人として2022年3月に「Dynamic Map Platform Europe, GmbH」も設立しており、これまでもグローバルな事業展開に積極的な姿勢を見せてきた。

まずは今後、韓国でダイナミックマッププラットフォーム社の高精度マップが韓国の自動車メーカーで採用されることになるのか、注目したいところだ。

【参考】関連記事としては「ダイナミックマップとは?自動運転に有用(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



B!
関連記事