自動運転トラック開発の米Embark、会社清算か 従業員70%解雇

「あらゆる選択肢の検討尽くした結果」

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出典:Embark Trucksプレスリリース

自動運転トラック開発を手掛ける米Embark Trucks(エンバーク・トラックス)が、レイオフ(一時解雇)を実行する。Embark創業者兼CEO(最高経営責任者)のアレックス・ロドリゲス氏が、解雇などに関するメールを全従業員宛に2023年3月4日付で送っている。

2021年11月に米ナスダック市場にSPAC上場し、トラック向け自動運転ソフトウェアの販売も順調に見えたEmbarkだが、会社清算も検討しているという。同社にいま何が起こっているのだろうか。

■Embarkのレイオフの内容は?

Embarkは、従業員の70%を削減することを決定したという。従業員が退職合意書に署名した場合、2023年6月2日までの基本給や同年8月末までの福利厚生が保障される。また今後のキャリアサポートやビザ所持者向けの移民サポートも行うという。

残された30%の人員は、解雇関連の業務を行うとともに、今後数週間にわたり同社の取締役会と連携し、資産の売却や会社の再編、完全閉鎖を含む選択肢を検討していく。

ロドリゲス氏はメールで「既存計画の見直しや代替市場の開拓、会社の買い手探しを試みてきたが、あらゆる選択肢の検討を尽くした結果、従業員の70%を解雇し、カリフォルニアとヒューストンのオフィスを閉鎖するという、非常に困難な措置を取ることになった」と述べている。

また「自動運転トラック輸送を解決することは、いつか社会に大きな利益をもたらすと信じているが、Embarkは現在の形でそのビジョンを見届けることはできないかもしれない」とし、会社清算の可能性を示唆している。

■自動運転開発業界では波乱が続く

2016年設立のEmbark Trucksは、長距離トラックに焦点を絞った自動運転技術を追求してきた。同社のトラック向け自動運転ソフトウェアの購入予約件数が1万4,200件に上っていると報道されるなど、業績は順調に見えたが、2022年始めからの景気後退の流れが大規模な商業展開の見通しを遅らせたようだ。

Embarkの株価は、レイオフのニュースを受けて一時11%以上下落し、この1カ月間では30%以上下落している。また上場すぐの高値と比較すると、97%下落した株価となっている。

2022年10月には、自動運転開発を手掛ける有力スタートップである米Argo AIの事業清算が発表されている。同社はフォードとVW(フォルクスワーゲン)から資金調達を行っていたが、追加支援を受けられなくなったことが事業閉鎖の直接の原因のようだ。

その他、LiDAR開発の米Ousterが2022年10月に従業員10%をレイオフしたのち、米Velodyne Lidarと対等合併したり、オーストラリアのLiDARスタートアップ・Barajaが大規模レイオフを実行したりするなど、自動運転開発業界では波乱が続く。

▼Embark Trucks公式サイト
https://embarktrucks.com/

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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