自動運転車が「空も飛ぶクルマ」になる時代へ

空でも陸でも自動運転、そんな未来が徐々に・・・



米企業が開発する空飛ぶクルマのイメージ=出典:Alef Aeronauticsプレスキット

世界各地で開発・実用化が進む次世代モビリティ。無人の自動運転車が陸路を走行し、空飛ぶクルマが低空域を飛び交う――そんな未来が徐々に近づいてきている。

モビリティの1つの究極系は、陸路の走行と空の飛行を自動運転で両立するモデルではないだろうか。1台のモビリティが、陸も空も自動で移動するのだ。







こうした次世代モビリティは実現可能なのか。この記事では、陸空両用の自動運転モビリティの可能性に迫る。

■空飛ぶクルマの類型

ざっくりだが、空飛ぶクルマのタイプは大きく4つに分類することができる。

1つ目は、飛行専用で垂直離着陸が可能なVTOL(Vertical Take-Off and Landing aircraft)タイプだ。既存のドローンをそのまま大きくしたようなイメージで、開発モデルの多くがこのタイプに該当する。動力と連動した車輪はついておらず、本来的な「クルマ」の定義にはあてはまらない。

このため、「空飛ぶクルマ」という呼称に対し疑問を抱く人も少なくないようだ。

【参考】空飛ぶクルマのイメージについては「ラサール石井さん、空飛ぶクルマに「大きなドローンやん」」も参照。

2つ目は、空陸兼用だが垂直離着陸を行わないタイプだ。3輪、4輪のタイヤで道路走行を可能にしつつも、格納式の翼やプロペラなどを展開し、滑走路で加速した後に飛び立つタイプだ。ある意味、一番分かりやすい空飛ぶクルマのイメージではないだろうか。

多くの開発モデルは保安基準を満たし、自動車としてしっかり車道を走行できる性能を有する。ただし、飛行する際は滑走路が必要となるため、利用する場所を選びそうだ。

3つ目は、空陸兼用で垂直離着陸可能なタイプだ。2つ目と同様、格納式の翼やプロペラなどを備え、飛行する際はドローンのように垂直離陸することができるモデルだ。こちらも空飛ぶクルマとして申し分のない仕様で、陸路と空路の移動を柔軟に両立できそうだ。

4つ目はその他のタイプで、例えばモジュール方式を採用したモデルなどが考えられる。車道を走行可能なシャーシモジュール、飛行可能なドローンモジュールをそれぞれ開発し、利用者が乗り込むパッセンジャーモジュールを付け替えることで空陸の飛行・走行を両立させたモデルだ。

アウディやエアバスなどの開発グループはこのタイプのプロトタイプを公開している。意外と現実的かつ効率的なモデルかもしれない。

■次世代モビリティの価格
空陸両用モデルは将来アドバンテージ?

上述したように、空飛ぶクルマはいくつかのタイプに分類することができるが、多くは飛行のみを可能にするVTOL系だ。空を飛ぶ技術そのもののハードルが高いため、現時点で無理に両立を図る必要はないのだろう。純粋なエアモビリティとしての技術確立が最優先であることは言うまでもない。

ただし、果敢に空陸両用モデルの開発を進める企業も決して少なくない。さすがに陸路における自動運転と空路における自動操縦の両立モデルを開発している企業はごくわずかだが、アウディのグループなど開発を進めている例も確かに存在する。

高い目標のもと理想を追求することが、将来大きなアドバンテージになるかもしれない。どちらが正しいというものではなく、戦略の相違によるものだ。

価格は数億円が当たり前?

現在の水準をベースに考慮すると、両立モデルは必要とされる技術やパーツなどが膨大なものとなり、高額になることが予想される。

自動運転車の現在の相場は1台当たり数千万円だ。中国・百度(Baidu)が量産化により数百万円の生産コストを実現しており、場合によっては市販価格も1,000万円前後を実現する可能性がある。

空飛ぶクルマは数千万円のモデルから数億円のモデルまで幅が広い。一部1~2千万円ほどの価格で予約販売している例もある。米スタートアップのAlef Aeronauticsは、廉価版を3万5,000ドル(約480万円)で販売する計画のようだ。

これらを組み合わせた場合、その額は途方もない水準となる可能性が高い。必要な技術・パーツを可能な限り小型・軽量化し、冗長化も二重三重に図らなければならない。単純に組み合わせる以上の技術が必要となるはずだ。

仮に実現し市販されたとしても、初期の価格は数億円を下らないのではないだろうか。

量産・普及段階でどこまで価格が落ち着くか

ラグジュアリーなパーソナルモビリティの代表格となりそうだが、技術が高い水準で安定し、量産化が進めば価格も次第に落ち着いてくるはずだ。

自動運転車と空飛ぶクルマ、それぞれが1千万円を切る価格帯に突入すれば、空陸両用の自動運転モデルも比較的安価になる。それがいつごろか、幾らくらいかは何とも言えないが、こうしたモビリティの実用化は決して不可能なものではなく、かつ量産・普及段階に達すれば価格は落ち着いてくる――という話だ。

【参考】空飛ぶクルマの価格については「空飛ぶクルマの価格・値段は?(2022年最新版)」も参照。

■【まとめ】次世代モビリティの価格はどのように推移していくのか

自動運転車や空飛ぶクルマは大半が移動サービス用途に用いられ、当面は自家用として使用するケースは一部のセレブらに限られる。

しかし、本格的な自動運転時代が到来すれば、各モビリティは徐々にパーソナルユースの性質を濃いものに変え、自家用のシェアも伸びてくる可能性が考えられる。

まだまだ先の話だが、個人レベルでは手が出せないほどのモビリティの価格が将来どのように推移していくのか、興味深いところだ。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマ、米Alefが「廉価版」を約500万円で発売予定」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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