スティーブ・ジョブズといえば、誰もが知るAppleの創業者だ。2011年10月に亡くなったが、それから11年経っても、Appleは時価総額で世界トップに君臨するなどメガテック企業の地位を不動のものとしており、いまもなおジョブズの思想は多くの人々に影響を与え続けている。
そんなジョブズのような存在になるかもしれないある若者が、いま自動運転業界に存在しているのをご存じだろうか。彼の名前はオースティン・ラッセル(Austin Russell)。同氏はLiDAR企業Luminar(ルミナー)の創業者でCEO(最高経営責任者)だ。
【参考】関連記事としては「Luminarの年表!自動運転の目「LiDAR」を開発」も参照。
■自動運転業界における「天才」
自動運転業界で「天才」と呼ばれている人物は複数いる。先日再上場したイスラエル企業Mobileyeのアムノン・シャシュア氏もよく名前が挙がるが、シャシュア氏は現在62歳であるのに対し、オースティン・ラッセル氏は27歳と圧倒的に若い。
ラッセル氏は1995年3月生まれで、25歳のときに日本円にして少なくとも2,500億円の資産を築いている。同氏が株式を保有するLuminarが上場し、保有していた株式の価値が大きく高まったからだ。Luminarはラッセル氏の光学の知識を武器に、17歳のときに設立された企業だ。
2020年時点で、ラッセル氏は世界で最年少の「セルフメイドのビリオネア」となった。「セルフメイドのビリオネア」とは、両親から資産を引き継がずに一世代で成り上がったビリオネアのことを指す。
■LiDAR開発に注力する「先見性」
スティーブ・ジョブズが備えていた先見性は、ラッセル氏にも備わっている。Luminarが製造しているLiDARは自動運転に欠かせないセンサーであり、自動運転市場の拡大とともにLiDARのニーズは増えることから、Luminarの将来性を有望視する投資家は多い。
アメリカの著名投資家であるピーター・ティール氏も、ラッセル氏を高く評価している。ティール氏は過去に自身の奨学金を通じてラッセル氏をサポートしてきた経緯があり、現在もLuminarの株主として名を連ねている。
■LiDARは「裏方」的な存在だが・・・
少し結論めいたことを書くと、オースティン・ラッセル氏はスティーブ・ジョブズのように一般に名の知れた存在にはならないかもしれない。自動運転業界においてセンサーはあくまで「裏方」的な存在だからだ。
しかし、若くして起業して会社を上場させたストーリーなど、ジョブズに重なる部分があることは確かだ。オースティン・ラッセル氏・・・。今後も注目していきたい人物だ。
【参考】関連記事としては「自動運転・AI業界、偉人21人の肖像 年齢順、神童から重鎮まで」も参照。