米ペンシルベニア州、「自動運転解禁」でテック企業誘致加速

州知事が規制緩和条例案に署名



米ペンシルベニア州で自動運転車に関する新しい条例が施行される。同州の知事が、ペンシルバニア州の「自動車条例」を大幅に変更するという案に2022年11月3日に署名し、今後施行予定だという。


条例の改正点には、ドライバー不在での商用目的の自動運転車の運行の認可も含まれている。フィラデルフィアやピッツバーグなど米国を代表する大都市が存在する同州で、自動運転車の商用利用が本格的に始まる。

【参考】関連記事としては「自動運転と法律・ガイドライン(2022年最新版)」も参照。

■安全要員なしでの商用走行が可能に

ペンシルベニア州は、2017年に自動運転車の試験走行と運用に関する条例を制定した。ただしその条例ではセーフティドライバー(安全要員)の同乗が必要であり、商用でなく「開発用途」のみに限定したものであった。

今回施行された自動車法では、「Certificate of Compliance(適合性証明書)」を取得した事業者は、セーフティドライバー無しでの自動運転車の商用走行を認めている。


また今回の改正では、自動運転車の無人運転に際し、当局への通報や情報提供、救護の義務などについても変更された。自動運転車で衝突事故が発生した場合、自動運転車両はその場で停車し、車両もしくはその車両の運行事業者がすぐに当局に連絡をする必要がある。

必要な登録情報などとともに事故を報告した場合、車両コードは遵守されるという。交通違反などは「適合証明書」(Certificate of Compliance)の保有者に紐付けられることになるという。

■「適合性証明書」とは?

適合証明書は、自動運転事業者の登録連絡先や保険、安全管理計画などを提出することにより取得可能となっている。また申請者は、連邦法とペンシルバニア州の自動車法を遵守し、自動運転車を運用することに同意する必要がある。

提出された申請書は、同州当局が30日間審査し、その間に却下されなかった場合は承認されたものとみなされるようだ。


■自動運転の「リーダー州」に!?

特に注目したい点としては、西海岸にあるカリフォルニア州やアリゾナ州などと並び、ペンシルベニア州が米東海岸における自動運転の「リーダー州」として大きなステップを踏み出したことだ。

鉄鋼都市として有名なペンシルベニア州の都市ピッツバーグでは、過去10年のあいだ、自動運転やロボット工学の開発や研究の東海岸の中心として、新興のテック産業などの誘致も行ってきている。

今回の州の条例改正により、さらにテックのスタートアップ企業などの集約にはずみがつく可能性が出てきた。

【参考】関連記事としては「自動運転、アメリカにおける「3大州」は隣り合っている」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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