関西の鉄道会社7社は2022年11月14日までに、関西地域の交通事業者間の連携を前提としたMaaSシステムを共同で構築することを発表した。複数の鉄道事業者によるMaaSシステムと MaaSアプリの共同構築は、国内初だという。
連携するのは、大阪市高速電気軌道、近鉄グループホールディングス、京阪ホールディングス、南海電気鉄道、西日本旅客鉄道、阪急電鉄、阪神電気鉄道の鉄道7社だ。
■2023年夏ごろにリリース予定
7社が共同構築するのは「関西MaaSアプリ」(仮称)だ。2023年夏ごろにリリース予定の第1弾では、主に関西地域でのマルチモーダル乗継経路検索やチケット予約・購入、各社沿線の観光施設や着地型体験ツアーなどを紹介するサービスが導入される計画となっている。
その後、徐々にバージョンアップを繰り返し行い、機能を拡充していくという。
関西MaaSアプリのコンセプトは、シームレスな移動手段の提供ができる「使いやすいMaaS」、交通事業者のほか宿泊業や飲食業などの参加も促進し幅広いサービスを実現する「参加しやすいMaaS」、アプリに蓄積されたデータを活用しサービス品質を向上させていく「発展・成長するMaaS」の3つで、関西地域全体での移動や消費の活性化などを目指す。
<3つのコンセプト>
- 使いやすいMaaS
- 参加しやすいMaaS
- 発展・成長するMaaS
■2019年10月から検討会をスタート
この鉄道7社は、2025年開催の大阪・関西万博に向け「関西MaaS検討会」を2019年10月からスタートさせている。2021年12月には国土交通省近畿運輸局が設置した「関西MaaS推進連絡会議」にも参画し、シームレスな移動手段の提供を目的としたMaaSの導入に向け共同で検討を行ってきた。
そしてこのほど「関西MaaS検討会」を進化させ、「関西MaaS協議会」を設立した。同協議会は大阪市内に本部を構え、関西MaaSの普及や拡大による顧客接点の構築と強化や、公共交通機関の新たな需要創出を図り、ユーザーの生活や地域社会、次世代のまちづくりに貢献することを目的に活動していくという。
■関西Maas普及で利便性向上&移動活発化
例えば、従来型のサービスを使用し、訪日観光客が関西国際空港から京都にある清水寺に行きたいとする。その場合、JR・南海電車・京阪の電車とバスなどを組み合わせた複数のルートがあり、現在はそれぞれ別々に路線検索や予約、支払いをしないといけない。
さらに、到着した観光地を複数箇所を巡る場合は、バスを利用するかカーシェアやシェアサイクルなども利用することになる。複数の交通事業者が参加するMaaSアプリができれば、こうした予約を1つのアプリ・サービスで完結させることができるようになる。
MaaSが普及すれば、移動の利便性が大幅に向上し、MaaSアプリの対象エリアで「移動」が活発化することも予想される。関西でこうした交通革新が起きていくか、注目だ。
【参考】関連記事としては「MaaS解説(2022年最新版)」も参照。