自動運転、Microsoftが認めた「東大発AIベンチャー」の正体

TRUST SMITH、Microsoft for startupsに採択



出典:TRUST SMITHプレスリリース

東大発ベンチャーのTRUST SMITH株式会社(本社:東京都文京区/代表取締役社長:大澤琢真)は2022年11月9日までに、米マイクロソフトが提供するスタートアップ支援プログラム「Microsoft for startups」に採択されたことを発表した。

マイクロソフトが支援するプログラムに採択されたということは、同社がTRUST SMITHの自律走行技術を認めたということと同義と言えるだろう。TRUST SMITHとはどのような企業で、どのような技術を保有しているのか。


■「Microsoft for startups」に採択される
出典:Microsoft公式サイト

Microsoft for startupsとは、世界140カ国位以上でグローバルに展開しているスタートアップ支援プログラムのことだ。革新的で独自の技術を持つスタートアップ企業の成長促進を目的に、マイクロソフトが実施されている。

TRUST SMITHが同プログラムに採択されたことで、クラウドサービス「Azure」などマイクロソフトが有するサービス・技術にアクセスできるようになる。さらに、マイクロソフトのパートナーネットワークを活用して、事業拡大に適した専用リソースも提供されるようだ。

TRUST SMITHは今後、技術開発の促進はもちろん、日本マイクロソフトとの共同プロモーションや研究実績の発表、Azureを活用する企業との連携で新たなサービスの開発・広域連携を目指していくという。

マイクロソフトのカスタマープログラムマネージャーであるYuhong Chen氏は「TRUST SMITHは、AGV群制御をはじめとした日本産業界に不可欠なAI先端技術の開発をリードし、その社会実装に携わっている」と説明。その上で、「Microsoft for startups Founders Hubを通じて、私達はクラウド基盤提供や弊社エンジニアによる技術支援を積極的に行っていく」とコメントしている。


▼サービス構築から顧客開拓の販売までを徹底支援|Microsoft for Startups
https://www.microsoft.com/ja-jp/biz/startups

■2019年1月設立、AIで「自動化」技術

磁気テープや床面の装飾が必要な汎用的な自律走行アルゴリズムを搭載したAGV「Kaghelo」=出典:TRUST SMITHプレスリリース

TRUST SMITHは2019年1月に東大発ベンチャーとして設立された。すでに、自動走行可能な搬送ロボットやフォークリフトなど、AI技術でファクトリー・オートメーションを進める多様な製品を開発している。

2020年11月には、トレーラーの自動運転開発をスタートさせたことを発表した。同年12月には、関連企業「SMITH & MOTORS」の設立も発表している。SMITH & MOTORSでは、AI・ロボティクスの先端技術を活用した、自動運転車による事業自動化コンサルティングを行う。


2021年3月には、ラストワンマイル向けの自動配送ロボットの開発に着手したことを発表している。開発予定の自動搬送ロボットはグリップ力のあるタイヤを使った四輪駆動式で、歩道走行中の軽微な段差は乗り上げることが可能になるという。階段昇降に対応可能な、4脚歩行の「犬型ロボット」の開発も進めているようだ。

2021年10月には、経路生成アルゴリズムを搭載した汎用型自律走行AGV(無人配送車)の「Kaghelo(カゲロウ)」をリリースした。2022年4月には、2020年10月から自動搬送ロボット開発などの開発・製造に取り組んだ旧工場から、約4倍の広さの新工場に移転している。

■事業拡大の勢いはさらにスピードアップ

事業拡大の勢いが止まらないTRUST SMITH。今回マイクロソフトのスタートアップ支援プログラムに採択されたことで、さらにそのスピード感は増していきそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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