初黒字!トヨタと孫氏の合弁「MONET」、売上急増20億円

第4期決算、純利益を1.1億円計上



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

トヨタ自動車とソフトバンクの共同出資会社として設立されたMONET Technologies株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長兼CEO:清水繁宏 )=モネ・テクノロジーズ=の第4期決算(2022年3月31日現在)が官報に掲載されている。第4期では過去最高の売上を記録し、初の黒字化を達成した。

モネ・テクノロジーズの第1期決算では、1億2,314万円の当期純損失を出し、売上高は計上されていなかった。第2期決算では、売上高が2億1,637万円で計上されたものの、当期純損失が第1期比447%増の6億7,377万円だった。


第3期では売上高を8億4,477万円で計上しており、第2期の約4倍となった。一方で当期純損失は6億4,324万円と、前期から微減程度だった。第4期では過去最高の売上高となる20億4,158万円を計上し、前期比141%増となった。初となる当期純利益も1億1,986万円計上し、3期続いた赤字から脱却した。

■貸借対照表と損益計算書の要旨
貸借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 3,864,551
固定資産 668,048
資産合計 4,532,599
▼負債及び純資産の部
流動負債 852,889
賞与引当金 55,082
その他 797,806
負債合計 852,889
株主資本 3,679,710
資本金 2,500,000
資本剰余金 2,500,000
資本準備金 2,500,000
利益剰余金 △1,320,289
その他利益剰余金 △1,320,289
純資産合計 3,679,710
負債・純資産合計 4,532,599

損益計算書の要旨(単位:千円)

売上高 2,041,580
売上原価 974,018
売上総利益 1,067,561
販売費及び一般管理費 923,353
営業利益 144,207
営業外収益 489
営業外費用 8,028
経常利益 136,668
税引前当期純利益 136,668
法人税、住民税及び事業税 16,800
当期純利益 119,867

■モネ・テクノロジーズの歩み
MONET Technologies設立の発表会で握手するソフトバンクグループの孫正義会長(左)とトヨタ自動車の豊田章男社長(右)=出典:トヨタ自動車プレスリリース

モネ・テクノロジーズは2018年9月にトヨタとソフトバンクの共同出資のもと設立され、2019年2月に事業をスタートさせた。企業理念は「モビリティサービスを通じて人々の暮らしをもっと豊かに」だ。社名には「全ての人に安心・快適なモビリティを届けるMobility Networkを実現したい」という2社の想いが込められている。


「Autonomous Vehicle(自動運転車)」と「MaaS」を融合させた「Autono-MaaS事業」と、「オンデマンドモビリティサービス」、「データ解析サービス」の3事業を展開している。

同社は、トヨタが構築したコネクテッドカーの情報基盤「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」と、ソフトバンクのスマートフォンやセンサーデバイスなどから収集・分析したデータから新しい価値を生み出す「IoTプラットフォーム」を連携させ、移動における社会課題の解決や、新しい価値の想像を可能とするMaaS事業を進めている。

2019年3月に日野自動車、本田技研工業と、同年6月にはいすゞ自動車、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、マツダと資本・業務提携に関する契約を締結している。

2020年4月には、企業や自治体のMaaS実現を支援する「MONETプラットフォーム」の機能を拡大し、本格運用をスタートした。同年8月には、MaaS向けの架装車両やキットを提供する「MONET MaaSコンバージョン」を発表するなど、年々提供サービスを広げている。


2022年3月からは、群馬県の沼田市内に停留所を500カ所設置し、AIオンデマンドバスの運行を開始している。

■コンソーシアムには696社が参加

2019年3月にモビリティイノベーションの実現に向けた仲間づくりの一環として、企業間連携を推進する「MONETコンソーシアム」を設立、MONETサミットも開催した。同コンソーシアム発足時から、さまざまな業種88社がコンソーシアムに参加し、2022年6月14日時点での加盟企業は696社と、次世代交通分野において日本最大規模となっている。

医療×MaaSの取り組みや、不動産事業者らによるMaaSの社会実装モデル構築に向けた実証、オンデマンド通勤シャトルの実証実験など、コンソーシアムのもとで各社がさまざま取り組みを展開している。

過去最高の売上高を記録し、初めて黒字化したモネ・テクノロジーズ。自治体との連携にも積極的な同社の取り組みに引き続き注目していきたい。

▼MONET Technologies
https://www.monet-technologies.com/
▼MONETコンソーシアム
https://consortium.monet-technologies.com/

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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