中国EC大手のアリババと中国新興EV(電気自動車)メーカーのXpeng Motorsはこのほど、自動運転車用のソフトウェアの訓練を行うためのクラウドコンピューティングセンターを共同で開設することを発表した。
このセンターは中国北部の内モンゴル自治区に設置され、アリババのクラウド部門の技術が利用されるという。
安全な自動運転の実現には、リアルタイムに大量のデータ処理が必要となる。さらには、自動運転AI(人工知能)の学習のためにも莫大な過去の走行データが必要となり、そのためのコンピューティングセンターは確実に自動運転開発には有用となる。
Xpengによると、同社のコアとなる自動運転AIのトレーニング期間が、このコンピューティングセンターにより、従来1週間かかっているところが1時間以内と大幅に短縮されるという。
■テスラを倒すための武器、それが自動運転
世界のEV市場では、米テスラが業界をリードしている。そんな中、NIOやLi Auto、Xpengなどの中国メーカーは各々が「テスラキラー」などと呼ばれ、打倒テスラを掲げて事業展開を強化している。
そんな中、Xpengは「自動車メーカー」というよりも「テクノロジー企業」としてさまざまな先進分野に投資を行っていることで知られ、自動運転はもちろん、ロボット工学や空飛ぶクルマなどの分野でも事業を展開している。
そんなXpengにとって、テスラを倒すための武器となるのがまさに自動運転技術であり、テスラが自動運転レベル3(条件付き運転自動化)を実現できていない中、今回のコンピューティングセンターの設立で一気に差を付けようという目論見だろう。
■アリババには独自の思惑が?
一方、今回のコンピューティングセンターの設立については、中国の景気減速のEC関連ビジネスへの影響が懸念されているアリババにとっては、独自の思惑があるかもしれない。
この機会にクラウドコンピューティング部門を強化し、自動運転のためになくてはならない技術を提供する企業としての地位をアピールしたいのではないか。気になるところだ。
▼Xpeng Motors公式サイト
https://heyxpeng.com/
【参考】関連記事としては「まるでテスラ!中国Xpeng、EVも売って自動運転タクシーも展開へ」も参照。