自動運転企業モービルアイが上場延期 米市場の相場悪化が理由

インテル傘下、当初は「2022年半ば」の計画



モービルアイのアムノン・シャシュアCEO=出典:インテル

自動運転技術を開発する米インテル傘下のイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)が、株式の上場計画を延期する。米メディアが報じた。

Mobileyeについてはこれまで、2022年半ばにIPO(新規株式公開)を行い、公開市場で資金調達を行う計画が発表されていた。しかし、アメリカの株式市場の相場環境の悪化により、上場延期を決めるのに至ったという。


Mobileyeと言えば、自動運転向けのシステムオンチップ(SoC)や自動運転システムを開発し、さらには自動運転タクシービジネスを世界展開させようとしている企業だ。2014年に米国市場に上場したが、インテルに買収されたことに伴い、上場廃止となった経緯がある。

【参考】関連記事としては「Mobileye(モービルアイ)と自動運転」も参照。

■上場延期を決定した理由とは?

Mobileyeの上場延期については、同社CEO(最高経営責任者)で創業者のアムノン・シャシュア氏が従業員に向けて送ったEメールを、イスラエルの経済紙が報じて明らかになった。eメールでシャシュア氏は、上場延期の理由を「アメリカ市場環境の悪化」と説明している。

2022年は、ロシアのウクライナ侵攻や世界的な資源高やインフレ、そしてアメリカの金融引き締めなどが引き金となり、欧米をはじめとした世界の主要な株式市場の相場は良くない状況だ。


Eメールでは「現在の市場環境下でIPOを行うことは、Mobileyeにもインテルとってもメリットはない」と説明されている。確かに相場環境が悪いときにIPOをすると、上場後に株価が低迷もしくは急落するケースも少なくない。

ちなみにMobileyeのIPO計画は2021年12月に発表され、このIPOによりMobileyeの企業価値は500億ドル(約7兆円)になると見込まれていた。

■2022年後半には上場予定

上場延期が明らかになったものの、Mobileyeの事業の先行きが暗いわけでは決してない。

Mobileyeは2021年7月に、米ニューヨークで自動運転車の実証実験を開始し、セーフティドライバーを乗せた自動運転車が交通量の多いマンハッタンの道路を走行するなどしている。


また、2024年から北米の公道で完全自動運転シャトルの走行を開始することを目指しており、いずれ日本を含む海外でも自動運転技術を活用した移動サービスを展開する予定だ。

報道によれば、上場は「2022年半ば」からはずれ込むが、いまのところは市場環境の安定を待って早ければ「2022年中」に実現させたい方向性のようだ。Mobileyeの動きに引き続き注目だ。

▼Mobileye公式サイト
https://www.mobileye.com/

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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