自動運転、我が街でも!国のMaaS実証事業、「先進地域」決まる

BOLDLYやゼンリンが自治体とタッグ

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経済産業省が推進する2022年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(地域新MaaS創出推進事業)」において、11の地域が「先進パイロット地域」に選ばれた。公募は2022年4月5日〜5月16日に行われ、外部有識者と事業者選定委員会により審査された。

今年度の地域新MaaS創出推進事業では、地域の移動課題を解決するためにA〜Eの5つのテーマが設定されている。

さらに、全国的に取り組みを実装していくために、地域住民にとって理想的なモビリティサービス像の検討や、ほかの地域の導入意欲を高めるサービス効果の明確化、自動運転など先進技術の活用を含んだ地域交通の将来像の検討を、地域と事務局で連携して実施する。

▼令和4年度スマートモビリティチャレンジの先進パイロット地域(経産省事業)として11地域を選定|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/automobile/sumamobigaiyou.pdf

■A〜Eのテーマで選ばれた地域・企業

採択された11の地域と実施主体は、以下の通りだ。

A:他の移動との重ね掛けによる効率化

B:モビリティでのサービス提供

C:需要側の変容を促す仕掛け

D:異業種との連携による収益活用・付加価値創出

E:モビリティ関連データの取得、交通・都市政策との連携

出典:経済産業省ウェブサイト(※クリックorタップすると拡大できます)
■自動運転関連に取り組む3地域

11のプロジェクトのうち、自動運転も含まれる取り組みをピックアップして紹介しよう。

「自動運転車両での複数サービス提供による収益・財源多角化検証」(B:四国、愛媛県伊予市・BOLDLY株式会社など)

中山間地域において、健康相談などの医療サービスや生活必需品の販売など、地域事業者と連携して生活に欠かせないサービスを自動運転バス内で複合的に提供する。各種サービスを提供するうえで、利用者意向などから自動運転バスの収益や財源多角化の可能性を検証する。

自動運転バスは動く社交場として賑わいを創出する場となる。スマートフォンでの健康相談やスマートウォッチでの特定保健指導により外出を推奨し、車内での交流を促進する。さらに、市民が市内の商店で注文した商品が自動運転バスに積み込まれ、車内で商品を受け取ったり購入したりできる。

出典:経済産業省ウェブサイト(※クリックorタップすると拡大できます)
レベル4自動運転や観光客の公共交通利用の促進に向けた体制拡充」(C:沖縄、沖縄県北谷町・ユーデック株式会社など)

自動運転レベル4の社会実装に向け、公道において自動運転レベル3の自動走行カートの実証を実施する。同時に自動運転レベル4の車両導入に向けた準備をヤマハ発動機と連携していくようだ。その際、ODD(運行設計領域)の設定や遠隔監視の仕組みづくりなど、自治体や警察など関係各所との体制構築に臨む。

さらに、航空事業者などと連携することで、旅行出発前から公共交通利用を促進するための介入手法を検討し、レンタカー会社などとともに体制拡充も目指す。今年度は北谷町にある北谷トランジットセンター(うみんちゅワーフ内)を起点に、北谷町から先の本島中部や北部への移動手段(レンタカーや路線バス、北部への観光バスなど)との連携を強化していく。

ちなみに、那覇空港〜北谷町を最短45分で移動できる直行シャトルバス「北谷エアポートエクスプレス」はすでに運行中だ。

出典:経済産業省ウェブサイト(※クリックorタップすると拡大できます)
「移動データの分析を地域交通改善につなげる仕組みの検証」(E:関東、長野県塩尻市・一般財団法人塩尻市振興公社など)

まず、地域公共交通の課題を特定し改善施策を立案するべく、広域連携MaaS事業や地域振興バス、AI(人工知能)オンデマンドバスなどの公共交通や自家用車による移動データから各種データを取得する。次にデータを可視化し、交通量調査や利用者属性情報などをMaaSダッシュボード上で分析する。自治体と連携することで分析結果を最適化検討に生かしていくという。

データを活用して公共交通施策の立案や自動運転事業構想の具体化、運用体制の整備、将来活用想定のその他事業などを実行し、見直しのサイクルを継続的に行う。検証方法としては、公共交通利用者の時間帯別などの交通量データを地図上で可視化し、移動需要と交通サービスの需給ギャップの観点から課題を分析する。さらにアンケートを通じた経済波及効果も算出するという。

出典:経済産業省ウェブサイト(※クリックorタップすると拡大できます)
■自動運転技術の活用に向けた取り組みに期待

先進パイロット地域として選出された11地域のうち、3つの地域で自動運転関連の取り組みも行われる。自動運転実装化へ向けた取り組みに期待したい。

【参考】関連記事としては「自動運転、日本政府の実現目標」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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