自動運転に必要な情報インフラの1つである自動運転向けマップ。自動運転向けマップについては、すでにさまざまな活用事例がある。高精度3次元地図大手のダイナミックマップ基盤(DMP)が公式サイトで公開している5つ実績から、活用事例を紹介していこう。
記事の目次
■静岡県での実証実験事例①
2017年11月、静岡県とDMPは静岡県が独自に蓄積した3次元点群データを活用するために「自動走行システムの実現に向けた連携・協力に関する協定」を締結している。この協定を踏まえて発足したのが「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」だ。袋井市が実施している「エコパドリームプロジェクト」と合わせて2つのプロジェクトが連携し、2018年に実証実験が行われた。
DMPは袋井駅からエコパ入口間の1.1キロの公道と、エコパ入口から静岡理工科大間の2.7キロの県道、エコパ圏内1.5キロの道の、全部で3種の高精度3次元地図データ(HDマップ)の作成依頼を受けた。
この実証により、静岡県が保有する1,000キロ以上の点群データが、HDマップ作成に際する必要要件を満たすことが確認できた。同時にDMPは公道での実証実験の成功に寄与し、民間企業として県が保有するデータを活用できることを立証した。
■静岡県での実証実験事例②
静岡県やDMPなどで発足した「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」において、2019年度に下田市と松崎町、沼津市の全3地域の公道で実証実験が実施された。
実証に際し、DMPは下田市からは下田メディカルセンターと伊豆急下田駅、道の駅間の公道の地図データを、松崎町からは県道121号の岩科学校から集落間の地図データを、沼津市からは剣道159号の沼津駅から沼津港間の地図データの作成依頼を受けた。DMPは静岡県が保有している静岡県が保有する点群データをもとに、HDマップを作成した。
実証ではHDマップを活用することでGNSS(全球測位衛星システム)に依存せずとも自動走行できることや、見通しの悪い狭い道路でも道路情報の先読みができ、薄れた停止線もマップで補完できることが確認された。
■播磨科学公園都市内における実証運行
兵庫県の播磨科学公園都市内において2019年、自動運転OS「Autoware」を搭載した日野自動車製マイクロバスの公道実証が実施された。播磨科学公園都市は最先端の科学技術や人材が集まる「科学のまち」として知られている。
この実証は新たなモビリティサービスの実用化と地域交通の利便性向上を目指し行われたものだ。実証に際し、DMPは芝生広場中央駐車場から理化学研究所播磨事業所北管理棟の約3キロの区間を往復するためのHDマップを、アイサンテクノロジーとともに作成した。
■日産の「スカイライン」への導入
2019年9月、ビッグマイナーチェンジした日産「スカイライン」にDMPの保有するHDマップが導入された。
絶対精度を誇るHDマップの導入により、高速道路や車線情報などの多様な情報を活用して、全国の高速道路や自動車専用道路における同一車線内ハンズオフ走行を実現する一助となった。
■ホンダの新型「レジェンド」への導入
2021年3月、ホンダの自動運転レベル3を実現し、「Honda SENSING Elite」が搭載された車両「LEGEND(レジェンド)」に、DMPの保有するHDマップが導入された。
HDマップはセンチメートル級の絶対精度を誇り、高速道路や車線情報などの多様な情報を活用することで、全国の高速道路や自動車専用道路における自動運転レベル3の実現に貢献した。
■今後さらにニーズが高くなるのは確実
DMPは静岡県や兵庫県での実証、日産車両のハンズオフやホンダ車両のアイズオフの実現にも貢献していることが分かった。
今後、実証実験がより盛んになり、自動運転機能を搭載した車両の開発も加速するにつれ、同社のソリューションに対するニーズは一層高くなっていくはずだ。今後もDMPの取り組みに引き続き注目していきたい。
▼高精度3次元地図データ|SERVICE|ダイナミックマップ基盤株式会社
https://www.dynamic-maps.co.jp/service/hdmap/index.html
【参考】関連記事としては「ダイナミックマップ基盤、「空」も事業領域に!自動運転用マップ作製のノウハウ生かす」も参照。