マレーシアの大手格安航空(LCC)エアアジアが、空飛ぶクルマ事業に参入する見通しだ。イギリスの開発メーカーに100機以上を発注した。エアアジアを率いるトニー・フェルナンデス氏は「LCCを立ち上げたときも懐疑派はたくさんいた」と述べている。
エアアジアが空飛ぶクルマの機体を発注した先は、空飛ぶクルマ開発のスタートアップである英Vertical Aerospace(バーティカル・エアロスペース)。発注した機体はeVTOL(電動垂直離着陸機)の「VX4」。
VX4はパイロット含め5人乗り(パイロット1人・乗客4人)で、最高時速約325キロ、航続距離は約160キロ以上となっている。今後エアアジアがVX4を旅客輸送に活用するとすれば、年内にも実証実験が始まることになるかもしれない。
航続距離を考えると、空港から都心部や観光地などへの移動サービスで使用するのだろうか。
■日本の丸紅やJALからも受注
Vertical Aerospaceがエアアジアから発注を受けたことは、以下の資料からも明らかだ。2022年3月18日に開催された「第8回 空の移動革命に向けた官民協議会」(経済産業省など主催)でVertical Aerospaceが提出した資料だ。
▼Vertical Aerospace提出資料|第8回 空の移動革命に向けた官民協議会
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/air_mobility/pdf/008_02_03.pdf
ちなみにVertical Aerospaceは、航空機リース企業のアヴァロンから最大500機、アメリカン航空から最大350機、ヴァージン・アトランティック航空から150機の計1,000機を受注していることを2021年6月に発表している。契約額は最大40億ドル相当だった。
2021年9月には日本の商社大手の丸紅から、最大200機の予約発注を受けた。丸紅とVertical Aerospaceは、日本での飛行・運航に必要な条件やインフラ要件なども共同で評価する。このほか、JAL(日本航空)からも最大100機を受注済みだ。
■実証実験のスタートはいつ?
LCC大手のエアアジアが空飛ぶクルマを発注していたことが判明しただけに、「格安エアタクシー」が将来展開されることへの期待が高まる。エアアジアはどの段階から実証実験をスタートさせるのか、まずその点に注目しておきたい。
▼Vertical Aerospace公式サイト
https://vertical-aerospace.com/
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマ、「販売競争」に火蓋 個人向けの予約販売など続々」も参照。