国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)は2022年3月15日までに、世界で初めてスキャナーの可動部が一切ない自動運転用のソリッドステートLiDARが開発されたことを発表した。
■SteraVisionが2019年12月から開発
開発したのは、センサー開発などに取り組む株式会社SteraVision(本社:茨城県つくば市/代表取締役社長:上塚尚登)。同社はNEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」において、2019年12月からLiDARの開発に取り組んでいた。
開発した自動運転用ソリッドステートLiDARは、スキャナーの可動部が一切ないだけではなく、ほかのイノベーションも同時に起こしているようだ。
例えば、肉眼では確認できない遠方や濃霧・煙などの先を見ると同時に、速度も検出することもできるという。このほか、人間のような「見たいところを必要なだけ見る」という視覚システムも実現したという。
NEDOは報道発表で「レベル4とレベル5の自動運転やファクトリー・オートメーション(FA)、ロボティクスシステム、セキュリティなど多くの分野への適用を目指す」としている。
■2022年7月ごろからサンプル出荷開始
今回開発されたLiDARは、SteraVisionが2022年7月ごろからまずサンプル出荷を進めていくという。
LiDARやレーザーの市場規模は今後急拡大が見込まれており、2030年の世界市場は5,000億円規模(※矢野経済研究所の予測)になると言われている。そんな中、アメリカや中国、そして日本でも、LiDARを開発する企業が増えている。
こうした状況の中でSteraVisionのLiDARが自動運転車の開発企業からどれほどの関心を集めることができるか、注目していきたい。
【参考】関連記事としては「LiDAR(ライダー)とは?自動運転向けセンサーとして活躍」も参照。