技術が進化する過程のエピソードは、多くの人々の興味をそそるものだ。自動運転技術の進化に関してもさまざまなエピソードがあるが、「レース」が技術革新のスピードを加速させたことは、ぜひ知っておきたい。
■DARPAの自動運転レースが技術革新の火種に
アメリカにDARPAという組織がある。米国防高等研究計画局のことで、DARPAは2004年と2005年に砂漠のコースを走行する自動運転レースを開催した。2004年のレースでは完走車はなかったが、2005年の大会では見事ゴールするチームが出た。
2005年の大会で最も早くゴールにたどりついたのが、Googleで後に自動運転車の開発に従事するSebastian Thrun(セバスチャン・スラン)氏のチームだ。スラン氏は2004年の大会にも出場しており、2004年で浮き彫りになった課題を解決して2005年の大会に臨んだ。
2007年の大会は、市街地に見立てた空軍基地跡がコースとなり、この大会ではスラン氏のチームの車両を抑え、カーネギーメロン大学とGMの共同チームの自動運転車が優勝する。技術でスラン氏の上をいった。
このようなエピソードからも分かるように、参加者が切磋琢磨するコンペティションは技術革新を加速させるのに一役買う。
■日本でも自動運転がテーマの大会が定着
当時はDARPAのような大会は日本にはなかったが、現在は日本でも自動運転をテーマにした大会が定着しつつある。自動車技術会が主催する「自動運転AIチャレンジ」だ。
第3回大会が2021年11〜12月に開催され、過去最多の164チームが参加した。第3回大会から事前にモビリティ技術の基礎を学べる講習などが行われ、この大会を機に自動運転技術に挑戦しようという学生や技術者にとっては、貴重な学習の機会となった。
ちなみに第3回大会では、オンライン上のシミュレーターで自動走行車両によるサーキット走行タイムを競った。1位の「最優秀賞・経済産業省製造産業局長賞」は、ペンシルバニア大学に所属する2人のチーム「Hayabusa from UPenn」が受賞した。
■第4回大会のエントリー受付もすでに開始
日本における自動運転技術の大会として定着しつつある「自動運転AIチャレンジ」。将来、自動運転AIチャレンジの参加者の中から、自動運転に関する革新な技術を開発する人物が出ても不思議はない。
2022年6月の開催を予定している第4回大会のエントリー受付もすでに始まっている。詳しくは以下の公式サイトをチェックだ。
▼自動運転AIチャレンジ|公益社団法人 自動車技術会
https://www.jsae.or.jp/jaaic/
【参考】関連記事としては「【大会ルポ】太陽や風も難敵に…「自動運転AIチャレンジ」初開催 Autowareを使って走行精度競う」も参照。