自動運転車の全事故報告ルール、企業側「イノベーションの妨げ」と反発

WaymoやNuro所属の米ロビー団体「負担膨大」

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出典:GM Cruise公式サイト

自動運転車に関する米ロビー団体「Self-Driving Coalition for Safer Streets」(より安全な道路のための自動運転連合)が、自動運転車などの事故に関する当局の報告ルールに異議を唱えている。米ロサンゼルス・タイムスが報じた。

このロビー団体は、自動運転タクシーを商用化しているGoogle系WaymoやGM傘下のCruise、配送ロボット開発をリードするNuroなどが所属する2016年創設の団体。同団体が異議を唱えているのは。米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が2021年6月に発表した事故の報告ルールだ。

報告ルールでは自動運転車などの開発メーカーに対し、ADS(自動運転システム)やADAS(先進運転支援システム)の機能を搭載した車両が、事故発生の30秒以内に機能を作動させていた場合、その全ての事故に関し、報告書を作成・提出するよう求めている。

このロビー団体の顧問であるアリエル・ウルフ(Ariel Wolf)氏は、このルールによって膨大な報告書の作成を自動運転車の開発メーカーが強いられている点に懸念を示し、この大きな負担が自動運転技術というイノベーションの妨げになると指摘している。

ロビー団体側も事故情報の共有の重要性に関しては理解を示している。一方、現在の報告ルールの枠組みの場合、自動運転機能などが要因ではない事故の報告書も作成が必要になることなどを疑問視していると考えられる。

■「Self-Driving Coalition for Safer Streets」とは?

以下が「Self-Driving Coalition for Safer Streets」の公式サイトのURLだ。

▼Self-Driving Coalition for Safer Streets
https://www.selfdrivingcoalition.org/

公式サイトでは参画企業が確認できる。WaymoやNuroのほか、FordやArgo.AI、GM傘下のCruise、自動運転トラックを開発するTuSimpleなど、大企業やベンチャー企業など、自動運転技術の開発に携わるさまざまな企業が所属している。

同団体はオバマ政権下の2016年、アメリカ政府が自動運転に関するルール作りに本格的に乗り出した時期に設立された。創設時のメンバーは、Google、Ford、Uber、Lyft、Volvo Car。

【参考】関連記事としては「自動運転の事故「24時間以内に報告を」 米NHTSAが発表」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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