自動運転技術の実用化に取り組む埼玉工業大学が、自動運転と自動運航が可能な水陸両用バスを世界で初めて実用化しようと、挑戦中だ。
■日本財団の「技術開発共同プログラム」に参加
埼玉工業大学は水陸両用バス向けの自動運転・運航技術を共同開発すべく、日本財団の「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」において、「水陸両用無人運転技術の開発~八ッ場スマートモビリティ~」のメンバーとして参加している。
「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」は、2025年までに無人運航船の実用化を目指すプロジェクトだ。
ITbookホールディングスがコンソーシアムの代表を務め、群馬県長野原町や日本水陸両用車協会、ローカル5G製品を開発するエイビット、 ITbookホールディングス子会社のITbookテクノロジー、そして埼玉工業大学が共同で開発を進めている。
埼玉工業大学はITbookテクノロジーとの共同研究契約で、自動運転・運航の水陸両用バスの実験車両兼船舶とソフトウェアを開発している。自動運転バスに活用しているジョイスティックロボカー技術とオープンソースの自動運転OS「Autoware」をベースに、水陸両用バスの自動運転・運航システムを構築するという。
実証実験では離着水・離着桟での位置推定と自動運航技術や、水上障害物検知と回避のための技術、ローカル5Gなどを用いた遠隔操作技術の3つをメインに取り組んでいる。
■群馬ボートとの協力体制もスタート
埼玉工業大学はこうした取り組みの一環として、群馬ボートライセンススクールを運営する籠島装業と小型船舶の自動操舵技術について協力することを、2021年12月7日に発表した。
群馬ボートは、実験艇借用・運用や小型船舶操縦の法令など豊富な経験を生かした小型船舶関連の専門的アドバイスを提供する。
両者はすでに群馬県と埼玉県をまたぐ下久保ダム神流湖で、群馬ボートが所有するクルーザーを用いた経路追従や障害物除けなどの自動操縦技術の実証実験をスタートさせているという。
■「世界初」が現実になる日も近い?
自動運転バス開発で実績を持つ埼玉工業大学。その知見を生かして世界初の水陸両用バスを開発するため、群馬ボートの協力もとりつけ着実に歩みを進めている印象だ。今後の動きにも注目したい。
【参考】関連記事としては「自動運転を研究する日本の大学まとめ 名古屋大学など8大学紹介」も参照。