位置特定の新技術「VPS」、自動運転向けに検証中!PLATEAUプロジェクト

3D都市モデルを活用して実証実験



出典:Project PLATEAU公式サイト

国土交通省はまちづくりのDX化を進めるため、3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を「Project PLATEAU」において進めている。そして現在は「自動運転」などをテーマとした実証実験に取り組んでおり、その内容を2021年9月1日までに発表した。

■「Project PLATEAU」とはどんなプロジェクト?

Project PLATEAUとは2020年4月にスタートした国交省主導のプロジェクトだ。


プロジェクト名は、フランス人哲学者ジル・ドゥルーズと精神分析家フェリックス・ガタリの著書『千のプラトー|Mille Plateaux』において、はじめでも終わりでもない精神の結節点として「プラトー」という言葉が使われていることに由来している。

Project PLATEAUでは、2020年度に東京23区をはじめとする全国50都市で3D都市モデルを整備し、さまざまなテーマで3D都市モデルを活用するユースケースの開発を進めつつ、技術コンテスト「ハッカソン」なども実施してきた。

▼Project PLATEAU公式サイト
https://www.mlit.go.jp/plateau/

■3D都市モデルを活用した「VPS」の活用可能性を検証

今回紹介された自動運転がテーマの実証実験は、静岡県沼津市で実施されている取り組みで、車両の自己位置を推定する「VPS」(Visual Positioning System)を自動運転システムで活用できるかを検証する実証実験だという。


VPSは、スマートフォンのカメラから取得した3次元情報と、建物の詳細な形状や道路などを含む3D都市モデルの特徴点を照らし合わせ、車両の自己位置を推定する新技術だ。

従来の自己位置推定にはGNSS(全球測位衛星システム)やLiDARが使用されてきたが、システム整備に費用がかかり過ぎたり、走行環境によって精度が低くなったりするといった課題がある。VPSはこの課題を解決する技術として期待されている。

実証実験の実施場所は沼津駅から沼津港までの約2キロ間で、静岡県と東急、名古屋大学が協力している。

対象エリアの3D地図=出典:Project PLATEAU公式サイト
■【まとめ】より安価に、より高い安全度で

VPSの導入可能性がひろがれば、自動運転はより安価に、そしてより高い安全度で実現できるようになるとみられている。沼津市で実施されている実証実験の成果に注目したい。


▼Project PLATEAU スマートシティの社会実装に向け、新たなユースケース開発の実証実験を開始|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi03_hh_000079.html

【参考】関連記事としては「自動運転車の位置特定技術、3つの手法とそれぞれの弱点」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事