日野とREE、上下分離型の自動運転コンセプトを具現化へ!

2022年までにプロトタイプ開発を目指す



出典:日野自動車プレスリリース

日野自動車株式会社(本社:東京都日野市/代表取締役社長:下義生)は2021年5月6日までに、EVプラットフォームを手掛けるイスラエル企業REE Automotiveと業務提携契約を締結したことを発表した。

両社は、革新的なコンセプトの次世代商用モビリティの開発やモビリティ起点のデータ活用、ビジネスモデルの検討を共同で推進し、2022年までに次世代モビリティのプロトタイプ開発を目指すという。


日野とREEが共同開発する次世代商用モビリティは「モジュール構造」となっており、REEのEVプラットフォームを採用した「動力部分」(シャシーモジュール)と、用途に応じて最適に設計された「荷室空間」(サービスモジュール)で構成されるという。

サービスモジュールはシャシーモジュールから簡単に取り外すことが可能で、シャシーモジュールはさまざまなサービスモジュールの動力として活用することができるようにするようだ。

■すでに上下分離型に取り組むダイムラーやVW

こういった上下分離型の構想を有している自動車メーカーはすでに複数存在している。技術見本市「CES 2019」で「Vision URBANETI」を披露した独ダイムラーもその1社だ。人の移動やモノの輸送などの用途によって、荷室空間部分を替えることができる構想だ。

独フォルクスワーゲンは、オーナーが社内インテリアを自由に設計できるモジュラーコンセプト「Volkswagen POD」を2019年4月に発表した。移動販売車やカフェバー、移動式充電ステーション、オンライン遠隔医療車など、多様なビジネスモデルに活用できるという。


スイスのコンセプトカービルダーRinspeedは、「CES 2018」でボディ交換が可能なコンセプトモデル「SNAP」を披露した。その後もコンセプトを進化させ、移動販売用の上部ボディを外して地面に置き、自動販売機として活用するユニークなアイディアも発表されている。

自律走行ロボットでは、ティアフォーが2020年12月に「Logiee S1」でモジュール式小型自動搬送ロボットを採用している。ニーズに合ったサービス機能モジュールを自動運転モジュールに載せ、幅広い用途でロボットを活用できるようにしている。

■上下分離型コンセプト、いずれは開発が本格化

各社が続々と構想を打ち出している上下分離型コンセプト。現在のところはコンセプトもしくはコンセプトカーの域を脱してはいないが、いずれは開発が本格化し、主導権争いが起きる時代がやってきそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転車の”上半身”が、多様なビジネスの舞台に 上下分離方式の未来モデル続々」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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