広島県を舞台にしたアクセラレーションプログラム「D-EGGS PROJECT」において、物流系ITスタートアップのYper株式会社(本社:東京都渋⾕区/代表取締役:内⼭智晴)が提案したAMR(自動配送ロボット)を使うプロジェクト案が、最終審査を経て採択された。
AMR事業は同社が新事業として取り組んでいるもので、D-EGGS PROJECTでは「中山間地域での新たなラストマイルインフラの構築」というタイトルでプロジェクト案を提案した。最終採択されたことで、今後は実証実験を実施するステージへと進むという。
D-EGGS PROJECTは、デジタル技術の活用によって地域課題の解決を目指す「ひろしまサンドボックス」の一環として実施されている。今回のプログラムでは全国から391件の応募があり、その中から最終的に30件が採択され、Yperのプロジェクトがその1つとなった。
今後は広島県内での実証実験を経て、最終的な成果発表を行うという。ちなみに最終審査の結果は2021年4月21日に発表され、その採択された30件は「https://newnormal.hiroshima-sandbox.jp/wp-content/uploads/2021/04/30EGGS.pdf」から閲覧することが可能だ。
■「AMR事業」と「置き配事業」、高い親和性
では具体的に、Yperが提案したプロジェクトとはどのような内容なのだろうか。プロジェクトのタイトルは「中山間地域での新たなラストマイルインフラの構築」で、自動配送ロボットによって無人の物流インフラを構築する計画だという。
今後はまず2021年9月に広島県内で実証実験を行い、自動配送ロボットを同社のシステムとつなぎ、宅配物と生鮮食品の混載配送を自動配送ロボットで試すという。さらに、中山間地域で自動配送ロボットを運用する際の収益モデルの構築にも挑む。
ちなみに、Yperは新たにAMR事業に取り組み始めたわけだが、現時点では「置き配」に焦点を当てた事業に取り組んでいることの方が有名だ。具体的には、置き配バッグとスマートフォンアプリを使った物流システムとして「OKIPPA」を展開している。
プレスリリースでは具体的には触れられていないが、この置き配に関する事業とAMR事業は親和性が高いはずだ。人に代わって自動配送ロボットが活躍し、さらに再配達が必要となることもなくなれば、物流の担い手不足が著しい中山間地域に大いに貢献できるはずだ。
■ラストワンマイルの課題に挑むYper
「ラストワンマイル配送」とは、物流の最終拠点から配送先までの配送のことを指す。物流業界では、工場や倉庫の仕分け作業などではロボットが活躍しつつあるが、ラストワンマイル配送は人に頼らざるを得ない状況が続いている。
そして近年はEC(電子商取引)の普及で配送需要が伸びている一方、人手不足も深刻化している。こうした課題にYperは置き配事業とAMR事業を通じて挑んでいる。まずは9月に実施される予定の広島県内での実証実験の成否に注目したいところだ。
【参考】関連記事としては「「自動運転×宅配」やラストワンマイルに挑む日本の企業まとめ」も参照。