交通事故防止やドライバーの負担軽減を目的とした「ADAS」(先進運転支援システム)の試験が、ビジネスとしての広がりをみせている。
ADASには衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱防止支援システムといった機能があり、昨今、システムの多様化・高度化が著しい。そんな中で「ADASの試験」に対する需要が高まっており、人材サービス大手もこの領域に新たに参入した。
新たにこの領域に参入したのは、パーソルグループで技術系エンジニアリング事業を手掛けるパーソルR&D株式会社(本社:愛知県名古屋市/代表取締役社長:礒田英嗣)。同社は2020年10月26日までに、モビリティ領域のビジネス強化の一環として、ADAS試験受託サービスを開始したと発表した。
■パーソルR&Dの試験受託サービスの中身は?
パーソルR&D社の主なADAS試験受託サービスの対象となっているのは、主に「衝突被害軽減ブレーキ試験」と「かじ取り装置試験」の2つだ。
衝突被害軽減ブレーキ試験では、一部改定となった保安基準に準じ、静止車両や走行車両、歩行者に対して試験を行い、所定の要件を満たすか確認するというものだ。
高精度な測位が可能なRTK計測や動画、さまざまなデータを組み合せたモニタリングにより、車両挙動や各種センサーの認識、制御のわずかな違いなどを評価できるという。
かじ取り装置試験では、走行車線の維持・変更に関する各要件の適合判定を行うため、要件に準じ車両を走行させ、動画撮影やRTK計測、さまざまな計測器による総合的なデータ計測から、自動操舵(ACSF)の機能・制御の評価を行う。
なお、ACSF機能を備える自動車は、車線逸脱を防止する補正操舵や、ハンドルを握った状態で車線を維持する自動車線維持を含むAからEまでのカテゴリーの要件に適合する必要がある。
■自動運転の試験や試乗でもニーズ?
人材サービス系企業は「人手」に強みがあり、手間が掛かる試験の受託サービスなどとの親和性が高いと考えられる。今回の発表はADASに関するものだが、自動運転の試験でも試乗や検証で人手が求められるシーンは多く、参入は十分に考えられそうだ。
【参考】関連記事としては「パーソルテクノロジースタッフ、自動運転開発などに有用な「モデルベース開発」技術者を養成」も参照。