三井不動産株式会社(本社:東京都中央区/代表取締役社長:菰田正信)とNECネッツエスアイ株式会社(本社:東京都文京区/代表取締役執行役員社長:牛島祐之)は2020年10月9日までに、「ローカル5G」を活用したスマートビルの実現や新たなワークスタイルサービスの提供を目指し、共同実証実験の実施に合意したことを発表した。
今回の実験では、新型コロナウイルスの影響や、それに伴う働き方の多様化を意識して、自動運転技術を活用した自律走行ロボットでの取り組みも実施されるという。
実証実験は2020年12月から2021年5月まで、東京都の日本橋室町三井タワーの一部エリアで行われる予定だ。大規模オフィスビルでのスタンドアローン方式のローカル5Gを使った実証実験は、日本初の取り組みとなる。
ローカル5Gは、「高速・大容量、低遅延、多接続」であることに加えて、「性能カスタマイズの柔軟性、高セキュリティ、安定性」といった特徴があるため、多様なワークスタイルに対応できるネットワーク環境の実現など、様々な用途に活用することが可能だという。
■XR活用、PCレス、自律案内ロボットで実証実験
この実証実験は、3つのテーマで実施される。
1つ目は、現実世界と仮想世界の融合技術であるVR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの技術を総称するXRや映像・音声認識技術を活用した、リアルとバーチャルを繋ぐワークプレイスの設置だ。2つ目は、高速・高セキュリティな無線ネットワークと5Gスマートフォンを活用したPCレスのオフィス環境の整備だ。
そして3つ目は、自律走行型案内ロボットや次世代サイネージを活用したサービスの提供やオフィスビルの管理で、今回使用される自律走行型案内ロボットは、中国のBeijing Yunji Technology社が提供する「YUNJI SAIL」だ。
■YUNJI SAILでオフィス利用者の不安を軽減
YUNJI SAILは、32型の大型ディスプレイを搭載し、タッチスクリーンによる直感的な操作で目的地へ誘導、さらに目的地では大画面で写真や動画などのコンテンツを再生することで、映像を駆使した効果的な説明や来場者の印象に残るおもてなしが可能だという。
このYUNJI SAILはNECネッツエスアイが日本独占販売権を獲得している。すでに導入検証も実施されており、利用者からも好評だったという。
自律走行ロボットを活用し、オフィスの非接触化の取り組みを進めることで、新型コロナウィルス感染拡大に対するオフィス利用者の不安を軽減したい狙いで、5Gをビル管理に取り入れることで、地震など災害時の活用も視野に入れているという。
■【まとめ】実用化に向けた取り組みを加速
NECネッツエスアイは、2020年度内に商用のローカル5G無線局免許の制度化が行われる予定の4.7GHz帯域を活用した実験試験局免許の申請を総務省に行い、実用化に向けた取り組みを加速していきたいとしている。今後の取り組みに注目だ。
【参考】関連記事としては「DMG森精機とNTTコム、ローカル5G下で自律走行ロボの共同実験」も参照。