半導体大手の米NVIDIA(エヌビディア)は2020年9月13日、ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計大手Arm(アーム)を400億ドル(約4兆2,000億円)で買収することに合意したと発表した。
自動運転業界では「半導体であればArm」と語る関係者も多い。そのため、欧州の半導体設計大手が米国企業の傘下に入ることに対し、自動運転領域における「欧州vs米国」という競争軸にも大きな影響を与えると指摘する声も少なくない。
この買収は規制当局の承認を得る必要などがあるため、手続きの完了までには18か月程度かかる見込みだ。
■Armと自動運転
Armは英国ケンブリッジに本社を置く半導体・プロセッサ開発メーカーだ。「iPhone」「Galaxy」などスマートフォン分野の半導体でも大きなシェアを誇っているが、モビリティ分野にも近年かなり力を入れてきた。
すでに日産のe-POWERではArmのプロセッサが使われているほか、バッテリマネジメントの分野でも採用されており、最も期待されているのが自動運転分野だ。
2019年10月には自動運転技術に関するコンソーシアム「Autonomous Vehicle Computing Consortium(AVCC)」の創設メンバーとして、ボッシュやコンチネンタル、トヨタ、NVIDIAなどとともに参画し、自動運転の大規模展開に向けてコンピューティング技術の議論を進めるなど、自動運転コンピューティングに関して先進的な存在となっていた。
■Arm創業者「欧州にとって最悪の事態」
Armが米国勢の一員となってしまうことについて、Armの共同創業者ハーマン・ハウザー氏は「英国にとって、欧州にとって最悪の事態だ」と語っている。英国における雇用の保持についても強い危機感を示した。
今年も自動運転に関するビッグニュースは多くあるが、今回のArm関連のニュースは確実に2020年の業界10大ニュースに入るほどインパクトがあると言えそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転、英Arm(アーム)チップの独壇場に?」も参照。