タイ空港会社(AOT)は2020年7月21日までに、タイの首都バンコクの郊外にあるスワンナプーム空港で使用する「全自動無人運転車両」(APM)2両がタイに到着したことを発表した。
同車両は、ドイツの電機大手シーメンスがオーストリアの工場で製造したもので、今後は旅客ターミナルと建設中のコンコースビルの間を運行する。
シーメンスの自動運転関連事業は日本においてはあまり伝え聞こえてこないが、同社は今回のニュースからも分かるように、すでに自動運転分野で取り組みを行っている。
■シーメンスの自動運転分野の取り組み
シーメンスはドイツを代表する企業の1社だ。情報通信や電力、医療、家電製品のほか、交通分野向けの製品開発やシステム開発も手掛けており、特に鉄道車両の製造では世界で20%以上のシェアを有していることで知られる。
近年は自動運転領域にも力を入れており、自動運転車向けのソリューションとしては「PLMソフトウェア」を提供している。このソリューションは、チップ設計から車両全体の検証までをカバーしているという。
同社はこのソリューションについて「自動車メーカーとそのサプライヤーが安全で商業的に実現可能な自動運転車を予算内でスケジュール通りに実現するのを支援している」と説明している。
ドイツ国内で「自動運転路面電車」の開発も進めており、デモ走行も実施している。AI(人工知能)技術を活用し、センサーが危険を察知すると自動で車両が停止する仕組みを導入し、自動車における自動運転と類似したシステムを採用している。
2020年5月には、台湾において自動運転車両のモデル地区の設置を計画していることが明らかになっている。同社の自動運転技術ノウハウを活用し、台湾の都市インフラの「スマート化」を後押しするようだ。
■すでにプロダクトを販売している企業の1社
自動車メーカーやIT企業だけではなく、いま多くの企業が自動運転分野への参入を模索し、すでに同分野でプロダクトやシステムとして販売している企業も少なくない。シーメンスもその1社だ。
自動運転業界の研究の際には、シーメンスなどの企業の動向も積極的にチェックしていきたいところだ。
【参考】関連記事としては「ヨーロッパ×自動運転、最新動向まとめ」も参照。