中国のライドシェア最大手でありながら自動運転技術の開発にも力を入れる貪欲な中国Didi Chuxing(滴滴出行)。同社は2020年6月2日までに、自動運転開発部門にあたるグループ子会社が5億ドル(約540億円)超の資金調達を行ったことを発表した。
過去にもDidi Chuxingに対して出資を行っているソフトバンクグループの独自ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が主導する形で資金調達が行われたようだ。
集まった資金で自動運転技術の高度化に向けた研究を強力に推進し、事故の完全防止に向けて安全性の向上などに努める。
同社は中国では北京と上海、蘇州で公道における自動運転車両の走行試験の許可を取得済み。今後は海外展開のほか、自動運転車両の量産化に向けて動き出す。
■2016年に自動運転部門を設立、2019年8月に新会社化
Didi Chuxingは2016年に自動運転部門を設立して以来、自動運転領域での取り組みを急ピッチで進めてきた。同年に中国と米国に研究開発センターを設置し、DiDiのプラットフォーム上で生成された膨大なデータを活用し、自動運転アルゴリズムの研究をスタートしている。
2018年1月には、トヨタが開発するMaaS向けの自動運転EV(電気自動車)「e-Palette」において協業することも発表され、注目を浴びた。
自動運転開発部門を独立させる形で新会社を設立したのが2019年8月だ。自動車メーカーらとの協力体制をより深め、効率的で安全なモビリティ環境の構築に向けて動き出した格好だ。
■ビックデータや資金力を武器に
Didi Chuxingの手掛けるライドシェアサービスのユーザー数は膨大で、同社はビックデータや資金力を武器に自動運転開発を進めてきた。既に自動運転業界をリードする企業の一社に数えられる。
上場が近いとも言われているDidi Chuxing。業績悪化に苦しむソフトバンクグループに投資利益をもたらしてくれるのか、という点からも注目だ。
【参考】関連記事としては「ソフトバンク、中国DiDiの自動運転部門へ近く出資か」も参照。