ロイター通信の報道によると、日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市/代表取締役社長:内田誠)が、フランスのルノーと三菱自動車工業と創設したベンチャーキャピタル(VC)ファンドからの撤退を検討しているようだ。報道によると、2020年3月末までに判断するとされている。
日産とルノー、三菱自動車の3社は2018年、自動運転や電動化などをはじめとする次世代モビリティを支援するファンド「アライアンス・ベンチャーズ」を合同で設立した。2018年1月には今後5年間で最大10億ドルを投資するという方針を発表している。
ただ日産は業績が落ち込む中、新型コロナウイルスの感染拡大によって車両の生産と販売もあおりを受けている。主力市場の中国では2月の販売が前年同月比で8割減となっている。
こうした中でのロイター通信の報道だが、VCファンドから撤退をすることで資金も引き揚げ、新型コロナウイルスの終息が不透明な中、なるべく日産本体の事業基盤を固めていこうという狙いなのかもしれない。
■アライアンス・ベンチャーズと自動運転
アライアンス・ベンチャーズは2018年10月、中国の自動運転ベンチャー「WeRide」に3000万ドル(約33億円)を出資している。この結果、WeRideはアライアンス・ベンチャーズが戦略的提携を結ぶ最初の企業となった。
2019年5月にはグローバルVC「Plug and Play Chin」との提携が発表されている。Plug and Play Chinは自動運転領域などに重点を置きながら世界28拠点でスタートアップ支援を行っており、より一層アライアンス・ベンチャーズによる自動運転領域への投資が活発化されることが期待された。
このように、自動運転領域に積極的な姿勢を示してきたアライアンス・ベンチャーズ。日産が抜けることでVC事業が縮小していけば、アライアンス・ベンチャーズから出資を受けることを目指していたベンチャーやスタートアップ企業に、少なからず影響が出るかもしれない。
【参考】関連記事としては「ルノー日産三菱の3社連合、育ててきた自動運転事業はどうなってしまうのか」も参照。