広告、「見てもらう」から「見せに行く」の時代へ 遠隔運転、そしてAI自動運転で

5Gを使って東京から札幌の車両を操作



出典:NTTコミュニケーションズプレスリリース

広告はこれまで誰かに「見てもらう」のが主流だった。ただこれからは「見せに行く」という形態での配信方法が主流になっていくかもしれない。自動運転や遠隔運転で移動可能な車両の側面サイネージなどに広告を配信すれば、人が集まる場所へ移動し、そしてその人達の属性に合わせた広告も打てる。

こうした可能性を感じさせる実証実験に関する報道発表が、2020年1月23日までにあった。東京ビッグサイトで開催中の「DOCOMO Open House 2020」の会場から、札幌の商業施設内を回遊するカート型車両を5Gを活用して遠隔運転し、その車両の側面サイネージに動画広告を配信するというものだ。


実証実験は1月22〜23日の2日間の実施で、不動産開発などを手掛けるサッポロ不動産開発株式会社(本社:東京都渋谷区/代表取締役社長:時松浩)とNTTコミュニケーションズ株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:庄司哲也)、株式会社NTTドコモ(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:吉澤和弘)の3社で取り組まれた。

■テナント広告を遠隔運転車両で配信

こうした実証実験の取り組みは、3社連名のプレスリリースによると「全国初」だという。実証の舞台となるサッポロファクトリーは地元の買い物客や訪日観光客が多数訪れる場所だ。実証実験にはソニーが開発した新コンセプトカート「SC-1」が使用された。

側面サイネージでの配信広告は同商業施設のテナント店舗の広告で、施設内の人の流れの解析や広告効果の測定も実証実験に含まれているという。

報道発表によれば、今回の実証実験の結果を検証を通じ、全国の複合商業施設やテーマパークなどに向けた広告配信サービスを検討するという。


■自動運転時代には「見せに行く」広告が完全自動化

今回は遠隔運転での取り組みだが、将来運転が自動化されれば、さらなる進化が考えられる。人の流れを分析するシステムが自動運転車にルートの指示を出し、そのルートを障害物を避けながら自動運転車が安全に走行できれば、「見せに行く」広告を完全無人で打っていくことができるようになる。

そんな時代は決して夢物語ではない。モビリティの進化は広告配信の常識すらも変えていくのだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)





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