山陰地方のMaaSアプリで「3日間乗り放題パス」発売

鳥取と島根の路線バスや私鉄が対象



出典:JTBプレスリリース

山陰地方に訪れる外国人旅行客のスムーズな周遊を促そうと、旅行大手JTBも参加する「山陰地域観光MaaS協議会」は2019年12月11日までに、「観光型MaaSの実証事業」として、鳥取県全域と島根県東部の路線バスや私鉄などが3日間乗り放題となる訪日外国人向けの交通パス「TRANSPORT PASS」の販売を開始した。

この交通パスは、外国人向けのスマートフォン用MaaSアプリ「Visit SAN’IN TOURIST PASS」内で販売される。ユーザーは乗り放題パスを購入したあと、路線バスや私鉄から降りるときに車両内のQRを読み込むだけよく、こうした手軽さが強みの一つだ。


販売期間は2019年12月2日から2020年3月15日で、販売価格は3日乗り放題パスが大人2500円、子供2000円。外国人観光客に対しては割引が適用される。アプリ内ではクレジットカード決済で購入が可能だ。

将来的にはアプリから得られる観光客の消費データや行動データを収集・分析し、山陰地域内での利便性向上や周遊促進への資料として活用していくという。

■多言語対応や二次交通の整備の遅れ、MaaSアプリで解決

このアプリが開発された背景としては、山陰地方において公共交通機関の多言語対応や訪日観光客の受け入れ環境を整えるための二次交通の整備が遅れていることがある。そのため、MaaSアプリによる移動の円滑化や多言語対応(英語・中国語・韓国語)には大きな期待が寄せられている。

このアプリを活用した地域内での取り組みも進んでいる。その一つが島根県米子市と米子市観光協会などの各担当者による「Like!YONAGOプロジェクト」で、地元の飲食店をまとめた「米子ナイトマップ」を制作し、同アプリからダウンロードできるようにした。


■【まとめ】「山陰モデル」として全国に広まるか

国土交通省は、全国各地のMaaSをはじめとする次世代モビリティ関連の実証実験を支援しており、今回の実証実験は「観光地型のモデル事業」として採択されている。

インバウンド消費を拡大させる取り組みは地域の活性化にもつながる。この取り組みが成功すれば、いずれは「山陰モデル」として全国に広がっていくかもしれない。

【参考】関連記事としては「MaaS(マース)の基礎知識と完成像を徹底解説&まとめ」も参照。


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