日本国内で続々と「MaaSアプリ」がリリースされている。MaaSのキーワードは「つなぐ」。さまざまな交通機関を統合した上で予約から決済までを一つのプラットフォームで可能にし、移動の効率化を実現するサービスだ。
この記事では日本国内で正式にリリースされた主要なMaaSアプリなどや、MaaSサービスの「元祖」として世界的にも注目が高い海外の「Whim」について紹介していく。
記事の目次
■小田急電鉄「EMot」:複合経路検索機能や電子チケット機能
小田急電鉄株式会社(本社:東京都新宿区/取締役社長:星野晃司)は、2019年10月末にMaaSアプリ「EMot(エモット)」のサービスを開始した。EMotは同社が開発するオープン共通データ基盤「MaaS Japan」を活用したものだという。
EMotの複合経路検索機能では、鉄道やバス、タクシーやシェアサイクルなどを組み合わせた経路が検索でき、連携しているアプリやサイトへ遷移してクレジットカードでモビリティサービスの予約や決済もできる。保有している定期券や購入した電子チケットを考慮した経路を検索してくれることも特徴だ。
観光や日常生活に便利な電子チケットをアプリ内で購入でき、フリーパス乗車券や飲食チケットなどのほか、買い物に応じて無料でモビリティサービスが利用できる特典チケットも発行されるという。
iOS版ダウンロードURL:https://apps.apple.com/jp/app/emot/id1472652885
Android版ダウンロードURL:現在準備中
■西日本旅客鉄道「setowa」:スマホ1台で瀬戸内エリアの旅行を快適に
西日本旅客鉄道株式会社(本社:大阪府大阪市/代表取締役:来島達夫)=JR西日本=も2019年10月末に観光型MaaSアプリ「setowa(せとわ)」を配信開始したことを発表している。瀬戸内エリアでの旅行を快適にしてくれるアプリだという。
setowaでは新幹線や鉄道に加え、現地の船舶やバス、タクシー、レンタサイクル、カーシェアリングなどの二次交通の一部をスマートフォンで一元的に検索・予約・決済できる。利用エリアは広島県東部を中心とするエリアで、2020年3月31日まで利用できるようだ。
JRや路線バス、船舶、ロープウェイなどの乗り放題プランと現地の観光施設入館券がセットのフリーパスやデジタルチケットなども提供されるという。
iOS版ダウンロードURL:https://apps.apple.com/jp/app/id1480580760
Androi版ダウンロードURL:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.jrwest.setowa
■WILLER「WILLERS」:地方観光地で二次交通不足の課題を解決
WILLER株式会社(本社:大阪府大阪市/代表取締役:村瀬茂高)も2019年10月末、観光MaaSアプリ「WILLERSアプリ」をリリースしている。地方の観光地における二次交通不足の課題を解決するためのサービスだという。
このアプリでは、行きたい観光地や体験したいアクティビティのほか、そこに行くまでの鉄道やバス、タクシー、レンタカーなどの移動手段を1つのアプリ上で検索・予約・決済できる。
現在利用可能なエリアは「ひがし北海道エリア」と「京都丹後鉄道沿線エリア」で、個人旅行者を対象としている。今後は展開エリアが広がっていく見込みだ。
iOS版ダウンロードURL:https://itunes.apple.com/jp/app/id1471754821
Androi版ダウンロードURL:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.willer.maasapp
■神姫バス「PassRu」:紙チケットの煩わしさからの解放
神姫バス株式会社(本社:兵庫県姫路市/代表責任者:長尾真)はMaaSアプリ「PassRu(パススルー)」 のサービスを開始している。チケット購入や乗り物の乗車、各種施設での買い物がお得になるクーポンも利用できる。
チケットの種類は指定されたエリア内を自由に乗り降りできる「エリアパス」と、エリアパスに加えて施設などで利用できるクーポン券がプラスされた「クーポンプラス」、券面に記載された区間をもぎり式で複数回利用できる「回数券」の3種類ある。
iOS版ダウンロードURL:https://apps.apple.com/jp/app/passru/id1435769138
Androi版ダウンロードURL:https://play.google.com/store/apps/details?id=net.passru.passru
■トヨタ自動車「my route」:福岡で実証実験、気になる正式リリース時期
現在福岡で実証実験中のMaaSアプリ「my route」は、トヨタ自動車が手がけるサービスだ。街のさまざまな移動手段を複合的に検索することが可能で、バスや電車、タクシー、サイクルシェア、レンタカーなどを組み合わせた移動ルートを利用者に提案してくれる。街でのイベントやグルメ、観光情報もチェックできる。正式リリースの時期が気になるところだ。
iOS版ダウンロードURL:https://apps.apple.com/jp/app/id1437356534
Androi版ダウンロードURL:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.toyota.myroute
■海外ではフィンランド生まれの「Whim」が存在感
「元祖MaaSサービス」として注目が高いWhimは、北欧フィンランドのMaaS Global社が手がけるサービスだ。
2016年6月に世界で初めてフィンランドで導入され、同国の交通課題を解決し注目を集めた。現在はフィンランドのほかにベルギーやイギリスなどの都市でサービスを拡大しつつある。日本にも近く上陸する見込みだと言われている。
Whimアプリには展開エリアのさまざまな移動サービスが紐付けられており、アプリで出発地と目的地を設定すると、最適な移動手段や経路を自動で提案してくれる。料金プランはさまざまで、乗り放題プランなどによって日本円にして数千円のプランもあれば数万円のプランもある。
【参考】関連記事としては「MaaSアプリ「Whim」とは? 仕組みやサービス内容を紹介」も参照。
■【まとめ】各地のコンソーシアムの動きにも注目
MaaSアプリが普及すれば移動の効率性が高まる。日本で本格普及する日もそう遠くはないはずだ。
ただアプリの利便性を高めるためには、移動手段の違いや競合関係の壁を越えた連携が必要になる。こうした中、各地でさまざまなコンソーシアムが誕生しつつあり、こうした動向にも注目していきたいところだ。
【参考】関連記事としては「MaaS(マース)の基礎知識と完成像を徹底解説&まとめ」も参照。