ハイブリッドバイク、人力モード中は「自転車」 規制停止で実証実施、ラストワンマイルに貢献

glafit社と和歌山市に「新技術等実証制度」認定



出典:glafit社プレスリリース

「ハイブリッドバイク」をご存じだろうか。「人力モード」と「電動モード」の切り替えやその両モードを併用しての走行が可能な電動マイクロモビリティで、自転車置き場にも駐車可能なコンパクトな車体であることなどから、公共交通機関から自宅や目的地までを結ぶ「ラストワンマイル」の移動手段として期待が高まっている。

このハイブリッドバイクが広く活用されるよう、glafit株式会社(本社:和歌山県和歌山市/代表取締役社長:鳴海禎造)と和歌山市が国の「新技術等実証制度(規制のサンドボックス制度)」の認定を受け、2019年11月から和歌山市内で実証実験を実施することがこのほど明らかになった。


新技術等実証制度とは簡単に言えば、現在の規制を一時停止して先進的な実証実験を期間限定で実施できるようにするものだ。今回認定を受けて実施される実証実験はどのようなもので、実証実験によって今後どのようなことが期待されるのだろうか。

■「人力モード」なら自転車レーンを走行してもいいのでは?

今回の焦点となっているのは、「人力モード」で走行中のハイブリッドバイクであれば自転車レーンを走行しても良いのではないか、という点だ。

ハイブリッドバイクは「原動機付自転車」と区分されるため、現在の規制では自転車レーンを走行することは本来できない。ただ人力モードであれば事実上「自転車」と仕組み自体は変わらない。そのため今回の実証実験では人力モードで自転車レーンを走行しても安全上の懸念が無いことを証明し、将来的な規制緩和につなげることが目的とされている。


将来的に人力モード中のハイブリッドバイクが自転車レーンを走行できるようになれば、利用者が状況に応じてモードを変え、車道と自転車レーンを選んで走行することが可能になる。そうなればいまよりもハイブリッドバイクのメリットが増え、よりラストワンマイルで利用者が増えることが予想される。

出典:glafit社プレスリリース

実証実験ではglafit社のハイブリッドバイク「GFR-01」が使用される。実証実験は2020年1月にかけて実施される見込みで、走行中に電動モードが使用できないよう改造した上で行われるという。利用者は運転免許(原付免許)保有者に限定し、ヘルメットを着用してもらう。

■ラストワンマイルでのシェアモビリティ、選択肢が増える未来

今回glafit社と和歌山市が認定を受けた国の「新技術等実証制度」は、新しい技術やビジネスモデルを用いた事業活動を促進するために創設されたものだ。参加者や期間を限定することで、既存の規制の適用を受けずに新しい技術などの実証を行える環境を整え、迅速な実証の実施を可能とする。

ハイブリッドバイクの実証に関する認定のほか、同じマイクロモビリティの一種と言える「電動キックボード」の実証実験もこの制度の認定を受けており、ラストワンマイルで利用可能なシェアモビリティの選択肢が将来日本で増えていく可能性を感じさせる。


欧米や東南アジアなどではこうしたマイクロモビリティが商用サービスとして既に普及している都市も珍しくない。安全が前提であることはもちろんだが、適切な規制緩和によって日本でも日々の移動がより便利になっていく未来に期待したい。


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