米自動車メーカー大手のフォードモーターが、自動運転システムの技術を応用した「車線キープベッド」のプロトタイプを開発したと、2019年2月15日までに発表した。
このベッドは寝相の悪いパートナーとの寝心地の悪さを解消するため、運転支援技術「レーンキーピングエイド(LKA)」を応用したという。LKAは走行時にカメラが車線を読み取り、ウインカーを出さずに車線をまたごうとすると、ステアリング操作に介入して車線の中央をキープするというシステムだ。
今回開発された「車線キープベッド」はこの技術を応用して、ダブルベットの「車線」をキープするというユニークなベッドだ。寝ているパートナー同士のスペースを車線に見立て、寝返りなどでパートナー側に侵入すると圧力センサーが検知し正しい位置とのズレを算出する。するとマットレスに内蔵しているベルトコンベヤが全体を横方向にスライドし、二人のスペースを最適に保ち、寝苦しさを解消する。
■自動運転技術のPR目的で制作
このベッドは市販・実用化される予定はなく、フォードの自動運転技術のプロモーションのために作られたようだ。
フォードは2021年までに完全自動運転の実用化を目指し、4400億円を投資して自動運転部門「フォード・オートノーマス・ビークルズ」という新会社を2018年に設立している。実証実験への取り組みも盛んで、2018年11月には米小売サービス企業のウォルマートと共同で、自動運転車両による商品の宅配サービスに関する実証実験を行うことも発表している。
自動運転技術とかかわりの深いAI(人工知能)やセンサー関連業界への投資や提携なども積極的に行っている。2017年2月にはAIシステム開発のArgo AI(アルゴAI)社に5年間で1130億円の出資を決定し連携するなど、開発力強化に取り組んでいる。
2019年1月には独フォルクスワーゲンとの提携に合意し、自動運転分野で協力関係を築いている。両社が持つ技術開発力が組み合わさり、自動運転開発のスピードが加速していくだろう。
【参考】フォードの自動運転への取り組みは「フォードの自動運転戦略まとめ 開発状況は?実現はいつから?」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) November 26, 2018