Google自動運転ロボタクシーウェイモの累計調達額が「4兆円」に

商業規模での拡大に歩み



出典:Waymo社プレスキット

米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)が、初の負債調達に踏み切った。10月8日に50億ドル(日本円で約7,500億円)の融資契約を結び、ロボタクシー事業は借り入れで拡大を支える商業化の段階に入った。

融資は期間を定めて貸し付けるターム・ローンの形をとった。米債券運用大手PIMCO(ピムコ)、米投資大手ブラックストーン(Blackstone)、米投資会社Sixth Street(シックスス・ストリート)の3社が主導し、米金融大手ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)が主幹事を務めた。2月に実施した160億ドルの株式調達に続く大型の資金確保で、株式による調達の累計は約4兆円規模、今回の融資を加えると約4.8兆円に達する。


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■Google自動運転ロボタクシーWaymoの累計調達額は「4兆円」に

ウェイモは2020年以降、複数回の資金調達を重ねてきた。2020年の約32億ドル、2021年の25億ドル、2024年の56億ドル、そして2026年2月の160億ドルである。合計は約270億ドル、日本円にして約4兆円になる。

そこへ今回の50億ドルの融資が加わった。融資を含めた総額は約320億ドル、約4.8兆円だ。

2月の調達は2月2日に発表された。企業価値は1,260億ドルで、約18.9兆円に相当する。新規の投資家3社が主導し、Googleの持ち株会社Alphabet(アルファベット)も大株主として参加した。経済通信社ブルームバーグ(Bloomberg)は、Alphabetが約130億ドルを出すと報じた。ウェイモは参加を認めたが、金額は明らかにしていない。

【自動運転ラボの視点】
株式で集めた資金に負債を重ねたことは、ロボタクシー事業が実験から商業化の段階へ移ったことを映す。親会社の支えに加えて金融市場の資金も動く局面で、今後は資金力が展開の速さと競争の行方を左右するだろう。

【参考】関連記事としては「Googleが「借金8000億円」!ロボタクシー世界展開で」も参照。


■初の負債調達、貸し手の顔ぶれと条件

ウェイモの発表によれば、今回の融資は同社初の負債調達にあたる。PIMCO、ブラックストーン、Sixth Streetが主導的な貸し手となり、ゴールドマン・サックスが主幹事を務めた。主要な貸し手には米大手運用会社3社が入り、ほかに投資ファンドや資産運用会社など7社が加わった。

融資額は当初の見通しから膨らんだ。ブルームバーグは9月初めに、ウェイモが30億ドル超の調達を目指していると報じた。その後、10月6日に50億ドルへの増額を報じている。貸し手の需要の強さを映す動きと言える。

条件はどうか。公式発表では、金利も満期も明らかにされていない。一方、ブルームバーグは関係者の話として、基準金利に5.25ポイントを上乗せした水準で決まったと伝えた。格付けも付いていないという。

■株式から負債へ

株式による調達は、新たな株主を迎える代わりに、既存の持ち分が薄まる。融資は返済の義務を負うが、持ち分は変わらない。ウェイモは発表で、今回の融資を株式調達の補完と位置づけた。財務の柔軟性を高め、事業拡大の機会に備えるという趣旨である。


発表文は、今回の融資を商業規模で拡大する企業へ進化するための一歩と表現した。最高財務責任者のSteve Fieler氏も、長期的な柔軟性を支える資金だと説明している。

背景には事業の急拡大がある。ウェイモは3月に有料乗車が週50万回に達したと発表した。9月には米国で15都市目の運行を始めている。共同最高経営責任者のテケドラ・マワカナ氏は、2026年末までに週100万回を目指すと語っている。

ブルームバーグは、車両の拡大や人工知能AIのコスト上昇への対応が、負債調達に向かった背景にあると報じた。ただしウェイモが示した資金の使い道は、米国と国際市場での自動運転タクシーの拡大にとどまる。AIコストは、報道が指摘する背景として区別して読む必要がある。

【参考】関連記事としては「Googleロボタクシー、2026年KPIに「週100万回乗車」を設定」も参照。

Googleロボタクシー、2026年KPIに「週100万回乗車」を設定

■資金の行き先は米国と海外展開

ウェイモは、資金を米国と国際市場での拡大に充てるとしている。市場ごとの配分は明らかにしていない。

日本では、9月15日にタクシー配車アプリ大手のGO(ゴー)、日本交通と組み、2027年に東京で商用の自動運転タクシーを始める計画を発表した。初期は約100台の規模とされる。2月には東京とロンドンを含む20都市超への展開が語られており、東京の目標時期は2027年と慎重になった。

欧州では、ミュンヘンで2027年末に一般向けの商用サービスを始める計画だ。8月に発表したもので、欧州連合では初の市場になる。ロンドンは2025年10月に2026年の開始を計画すると発表し、走行試験を進めている。フランス、スペイン、オランダ、ドイツでは事業体を登録した。シンガポールへの進出も明らかにしており、完全自動運転の乗車は2028年を目標とすると報じられている。

競合も欧州で動く。Zag Dailyによれば、米配車大手ウーバー(Uber)は中国系のPony.ai(ポニー・エーアイ)とクロアチアのザグレブで自動運転ライドを始めた。Pony.aiの車両はロンドンにも投入される予定だ。スペインでは、ウーバーと中国系のWeRide(ウィーライド)がマドリードでの試験許可を得た。ロンドンでは英Wayve(ウェイブ)が9月に、監督者付きの自動運転ライドを始めている。さらに欧州配車大手Bolt(ボルト)と米電気自動車メーカーのLucid(ルシッド)は、欧州で2.5万台のロボタクシーを展開する計画を示した。

【参考】関連記事としては「欧州初の自動運転レベル4承認へ WeRideとUberがスペインで」も参照。

■ウェイモ累計調達4兆円が示す、ロボタクシー競争の新基準

株式による累計約4兆円に、今回の融資が加わった。調達の規模だけを見れば、ロボタクシー競争は技術の優劣に加え、資金力の競争の段階に入ったと言える。ウェイモは発表で、成長を急ぎながらも慎重に拡大し、安全性を高める姿勢を強調した。

一方、融資には金利がつく。金利は基準金利に5.25ポイントを上乗せした水準と報じられ、借り入れのコストは小さくない。返済の条件も公式には示されていない。資金を投じた拡大のペースを、収益で支えられるかが次の焦点になる。

日本にとっても他人事ではない。ウェイモは東京でGOと日本交通を軸に、2027年の商用開始を目指す。資金力を背景に海外展開を急ぐ事業者と、日本の事業者がどう組むのか。自動運転タクシー市場は、その選択が問われる局面に入った。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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