航空市場、テスラの自動運転化で「縮小」へ

FSDユーザーが長距離移動に挑戦



あるテスラオーナーが、これまで航空機で移動していた1,000キロ超の行程をFSDで代替してみたところ、思いのほか快適で最良の選択肢だった――とする投稿をXにポストし、話題となっているようだ。


地続きであることが前提となるが、長距離移動の選択肢に自動運転車が加わる可能性を示唆しており、場合によっては航空市場の縮小につながっていくのかもしれない。

自動運転のポテンシャルは航空需要をも巻き込んでいくのか。同投稿を踏まえつつ考察していこう。

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■テスラオーナーの投稿概要

900マイルの航空移動をFSDで代替してみた

テスラオーナーのNahuel Hilal氏は2026年4月、Xに以下の長文をポストした。

昨日、テスラでマイアミからナッシュビルまでの900マイル(約1,450km)をFSDで運転して、『普通にこっちの方がいい選択だ』と気づいた。


このルートは月に2〜3回飛行機で移動しているが、航空券は安くても400ドル、だいたい600ドル、時には800ドルになる。そこに空港までのUberや駐車場代もかかるし、遅延や欠航、セキュリティチェックのストレス、隣の席の人間の匂いみたいな問題もある。

一方、車だとヘルシーなスナックを持ってボタン一つ押せばあとは車が走ってくれる。通話もしたし、メールの返信もしたし、家族とFaceTime(ビデオ通話)もしたし、停車せず食事もできた。普段の移動日にやることは全部できたのに、移動日のいやな要素は一つもなかった。

一番気になっていた航続距離と充電が実際はどうだったかというと――トイレの都合で、車が提案しなかった休憩を1回追加したくらい。ほとんどの充電は5分以内で終わった。トータルコストも、空港までのUber代より安かった。

しかもこれ、ベースモデルのTesla Model Y。今はもっと快適な車に乗り換えて、これを標準の移動手段にしてもいいかもって思い始めている。


これまで航空機で移動していた約1,450キロの移動を、FSDによるマイカー移動で代替してみた体験談だ。1,450キロは、東京から鹿児島、または北海道の釧路あたりまでの距離に相当する。通常の手動運転では、とても一日で移動できる距離ではないだろう。

反響多数で賛否両論

同投稿には、以下のようなコメントが寄せられている。

・それは少し長めのドライブだけど、FSDがあれば3時間以内なら迷う必要はないね。もし最大10時間くらいの距離で乗り継ぎ便を使うくらいなら、車で行くことも検討する価値があると思う。

・車で15時間、飛行機で2時間?空港への早めの到着時間や荷物の待ち時間などを考慮しても、やはり飛行機を選ぶ。

テスラFSDを選ぶなら、所要時間が2倍程度ならいいが、飛行機関連の時間をすべて含めると、おそらく3倍はかかる。よほど飛行機が嫌いか、費用を節約したいのであれば、車を選ぶのも無理はない。

・約900マイルなので、テスラの充電にかかる費用は合計で45ドルくらいでしょう。航空会社と比べると驚くほど安い。

・可能な限り、飛行機よりも車で目的地まで行くことを常に好んでいる。そうすれば、旅はほぼ自分のコントロール下に置かれる。統計的には飛行機の方が安全だと言われているが、私は他人よりも自分自身を信頼している。

当然否定意見はあるものの、意外と肯定する声も多いようだ。道中への質問も寄せられている。

・テスラの購入を検討しているが、毎年バッファローからフロリダまで往復運転する機会があることが懸念。充電時間は本当に5分で済むようになったのか?

→約14時間のドライブに対し、(充電のため)1時間くらい余計にかかった。充電は合計7回で、そのうち2回は30分以上、3回は5分くらいだった(バッテリーが10〜15%を下回ると、次の休憩まで走行できる電力を確保するのに数分かかる)。それでもこのドライブをするならかなり画期的。FSDだと、15時間の運転でも自分で運転する場合の6時間くらいの感覚。

・今なら道路から目を離し、ハンドルから手を離せるのか?それが私の考えでは制約要因となっている。もしそれが許されるなら興味がある。

→私はハンドルには全く触れず、視線は道路とスマホホルダーを行ったり来たりしていた。

バッテリー関連の質問も寄せられていた。わずか5分の急速充電に興味を惹かれる人は多いようだ。

注意散漫でも無事ドライブ達成?

また、FSDのセカンダリアクティビティについて、同氏は通話やメール、食事に言及しているが、これらは基本的に多くの州で違反とされている。

この点を突っ込む意見も多く寄せられていたが、同氏はハンドル横のホルダーにスマホを固定して音声入力していたことなどを弁解している。

なお、別のテスラオーナーは、FSDバージョン14の数回前あたりで新規追加された機能として、クルマが周囲の状況を踏まえた上で、スマホ操作などをしても安全かどうか判断するという。交通量が多いときや難しい道路状況では許可されないが、空いている高速道路では大抵許可されるという。

違反行為に該当、あるいは抵触する点については厳しく対処すべきではあるが、見方を変えると、この注意散漫なドライバーでも超ロングドライブで事故を起こすことはなかったと言える。おそらく全部、あるいは大半のエリアでハンズオフが可能だったと推測されるが、FSDはその域に達しているようだ。

■長距離移動と自動運転

所要料金は1/6~1/10ほどに?

まとめると、メリットには料金とプライベート性、デメリットには所要時間と労力が挙げられる。

航空機の場合、400ドル(約6万2,000円)~800ドル(約12万4,000円)かかっていたところ、充電料金のみで移動でき、自由なプライベート空間を確保できたことが大きなメリットとなっている。高度なレベル2+に相当するFSDにより、長時間の運転の負担もかなり軽減されたようだ。

充電料金は諸条件に左右されるため不明だが、1万~1万5,000円ほどかかっているものと推測される。航空機が平均9万3,000円とし、駐車料金などもかかるとすれば、1/6~1/10ほどのコストとなる。消耗部品などのコストを加味すればその差は縮まるが、マイカーの方が安価であることに違いはない。

所要時間は4倍ほど?

所要時間については、航空機利用の場合、飛行時間が2時間ほどと仮定し、空港までの移動や待機時間を加味して4時間とすると、マイカーはその4倍近い時間を要することになる。11時間の差で5万円安く移動できた……とすると、運転は時給4,500円相当の価値と言える。

労力に関しては、自動運転・ADASの恩恵がない通常の手動運転であれば、一日で移動できるものではなく、移動後も相当の疲労が残ることになる。FSDのハンズオフ効果でどこまで疲労が軽減されるのか……といった点が非常に重要だ。

一方、プライベート空間の恩恵は大きいだろう。不特定多数の他者に介在されることなく、専用空間であるマイカーで移動できる。車内で好きな音楽を聴きながら鼻歌を奏で、好きな時間に好きな場所で休息をとることができる。寄り道も自由だ。

自動運転になればセカンダリアクティビティの幅が広がる

これがレベル3以上の自動運転となれば、その快適性は格段に高まる。レベル3では常時監視義務がなくなるため運転に係る労力は激減し、セカンダリアクティビティの幅が広がる。通話やメール、簡単な食事など、すぐに運転操作に戻れる行為は概ね容認される。

【参考】関連記事としては「自動運転の「セカンダリアクティビティ」とは?」も参照。

レベル4以上の水準となれば、セカンダリアクティビティはさらに拡大する。自動運転中はドライバーとしての義務の大半が免除されるものと解され、余程の行為でない限り許容されるものと思われる。

この段階に達すれば、車内の設えを自動運転設計にカスタマイズし、移動中に食事や仕事、趣味に興じることなども可能になる。睡眠に関してはおそらくグレーだが、移動時間を効果的に活用することが可能になりそうだ。

「ブレインオフ」とは?自動運転レベル4に相当(2024年最新版)

FSDなら長距離移動も自動運転し続けられる?

現状、テスラのFSDはあくまでADASであり、長時間の運転においては疲労軽減効果しかない。今回のような1,000キロ超のロングドライブはさすがに現実的ではないのでは……と感じる人が多そうだが、これがレベル4などに進化すると、選択肢の一つになり得るのではないだろうか。

テスラのFSDはE2Eモデルをベースとしており、高速道路や一般市街地の区別なく自律走行を可能にする技術だ。1,000キロ超の行程でも、スタートからゴールまで原則自動運転し続けることが可能になるかもしれない。

時間に余裕があり、移動時間を有効活用する前提に立てば、航空機での移動をマイカーで代替する――という行動変化が起こり、航空需要の減少につながっていく可能性は否定できないのではないだろうか。

■【まとめ】長距離×自動運転サービスが将来誕生?

テスラはロボタクシー事業をすでに開始しており、なるべく早期に自家用車の自動運転化を実現する目論見だ。広域自動運転の実装にはまだまだ時間を要するものと思われるが、広大な面積を誇る米国では、将来本当に航空需要を取り込んでいく可能性は十分考えられる。

長距離×自動運転に向けた新規ビジネス・サービスも続々誕生しそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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