フランス国鉄、自動運転列車を2025年以降に実用化へ 日立子会社も参画

運行効率化や事故回避目的



フランスの鉄道史上、最大のイノベーションが起きる。そしてその変革はフランス国内に留まる話ではなく、世界に波及していく。


フランス国鉄は2018年9月15日までに、2023年までにフランス国内における在来線の普通列車や貨物列車の自動運転化の目処を立て、2025年以降の実用化に向け開発を進めると発表した。運行の効率化やヒューマンエラーによる事故回避がねらいだ。

発表は、プロジェクトに参加する日立製作所の連結子会社アンサルドSTSと共同で行った。自動運転領域でも存在感を増しているドイツの半導体大手ボッシュなども参画する。全事業費は5700万ユーロ(約74億円)で、国鉄とフランス政府が各3割、残りを民間企業が負担するスキームだ。

2023年にはまず、運転の一部をシステムが支援する自動運転レベル2(部分運転自動化)相当の技術の開発を終える。運転士は同乗するものの加速減速を自動化するという形だ。2025年には地方路線で運転士が同乗しない完全自動運行を目指す。自動運転レベル4(高度運転自動化)相当の技術だ。

【参考】自動運転レベルの定義については「自動運転レベル0〜5まで、6段階の技術到達度をまとめて解説|自動運転ラボ 」も参照。


フランスの地下鉄ではすでに自動運行電車が走行している。しかし地上を走る列車は地下鉄よりはるかに高速で、天候などの影響や高速走行時の障害物の対応も課題とされてきた。フランス政府は列車の自動運転技術を実用化し、世界に輸出することも狙っている。

日本では山手線で自動運転の検討が始まり、2018年中に具体案がまとまる見込みだ。また、イギリスの大手鉱業グループであるリオ・ティントは、2018年7月に世界初となる自動運転列車による鉄鉱石輸送に成功している。

各国で産声をあげている列車の自動運転プロジェクト。今後の進捗に注目が集まる。

【参考】日本の山手線も取り組みについては「JR東日本、山手線で自動運転導入へ 人手不足解消へ検討チーム発足 ゆりかもめでは既に導入 センサーやLiDARも必要?|自動運転ラボ」も参照。



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