自動配送ロボットの利用で最も不安なのは「商品の破損」──。こうしたことが最新調査により判明した。
この調査を行ったのは、市場調査会社の株式会社アスマーク(本社:東京都渋谷区/代表取締役:町田正一)。全国の20~60代男女800人を対象に2023年7月にウェブアンケートを行い、その結果を発表した。
自動運転技術はさまざまな場面で実用化が進んでいるが、普及に向けては消費者の声をサービスや技術に反映するのが必要不可欠となる。早速、アンケート結果を詳しく見ていこう。
■自動配送ロボにおける不安要素は?
アスマークが実施したのは、「宅配ロボット(自動配送ロボット)に関する調査」だ。
自動配送ロボットに対する認知度については、全体の27.4%が「聞いたことがあり、どのようなものかも知っている」と回答した。特に60代男性の認知度が高く、9割が聞いたことがあると回答している。
また「あなたご自身の荷物(購入した商品や人から送られてきたもの)が自動配送ロボットによって配送されることについて、不安なことをお知らせください(複数選択可)」という質問では、「商品の損傷」が最も多く、全体の58.9%を占めた。次に「機械の故障」57.4%、「配達ミス」56.6%と続く。
「商品の損傷」と回答したのは特に40〜50代の女性が多く、7割に上った。逆に、20〜30代の男性の3割弱は「不安なことはない」と回答したという。
■自動配送する商品によって抵抗感は変わる?
「商品の種類によって自動配送ロボットの利用に抵抗感を感じる度合いが変わるかどうか」という質問では、化粧品・美容製品については全体の1割強が「抵抗感を持つ」と回答している。
年代が低くなるほど抵抗感を持たない割合が高くなり、特に20代女性では7割強が抵抗感を持たないと回答している。化粧品など肌につけるものに対しては、特に女性は抵抗があると思いきや、意外にも抵抗を感じないという人が大多数という結果となった。
またブランド品の配送については、全体の35.3%が抵抗感を持つと回答した。これも化粧品・美容製品と同様、年代が低くなるほど抵抗感を持たない割合が増える。
■普及のポイントは「安全性」と「配送コスト」?
「自動配送ロボットを活用した物流が社会的に普及する上で、必要だと思う要素をすべてお知らせください」という質問に対しては、全体では「高度な安全性の確保(交通事故や盗難などの防止)」が59.8%で1位、「配送コストの削減(消費者や企業への影響)」50.4%で2位となった。また40~60代の女性では「データセキュリティとプライバシーの保護」という回答が6割になった。
今回の調査では、自動配送ロボットの認知度はある程度あるものの、年代が高くなるにつれて抵抗感が増すということが判明した。配送する商品によっても差がある。ちなみに米国では、自動配送ロボが襲撃されるという事件も起こっている。
【参考】関連記事としては「セブンイレブンの自動運転ロボ、L.A.で襲撃される」も参照。
セブンイレブンの自動運転ロボ、L.A.で襲撃される https://t.co/faRTEe36Pk @jidountenlab #セブンイレブン #自動運転
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) August 14, 2023
■課題が明確化するという意義
日本でもビル内や病院などで導入が進む自動配送ロボ。こうした調査を通じ、社会受容性の向上に向けた課題がはっきりしてくることは、非常の意義があることだ。詳しい調査結果は以下から確認できる。
▼宅配ロボット(自動配送ロボット)に関する調査
https://www.asmarq.co.jp/data/automatic_delivery_robot_202308/
【参考】関連記事としては「自動配送・宅配ロボットの届出・審査の流れ(2023年最新版)」も参照。