GMの自動運転タクシー、消防車と衝突!その代償は「車両数半減」

米加州DMVが指示、適切な措置を取るまで



カリフォルニア州車両管理局(DMV)は2023年8月22日までに、米GM傘下のCruiseに対し、ドライバーレスの自動運転タクシーを半減するよう要請した。米メディアが報じた。

前日にCruiseの自動運転タクシーが、サンフランシスコの交差点で消防車と衝突したことを受けてのもののようだ。DMVによると、昼間は50台以下、夜間は150台以下のドライバーレスカーを走行させることで合意したという。


■衝突事故の詳細は?

Cruiseは、X(旧Twitter)で事故について報告している。8月17日の夜10時過ぎに同社のドライバーレスの自動運転タクシー1台が青信号で交差点に進入し、緊急現場に向かっているとみられる消防車と衝突したという内容だ。Cruiseの車両には乗客が1人おり、現場で手当を受けたのちに救急車で搬送されたが、幸い重傷ではなかったようだ。

同社は「我々の第一の関心事は乗客とそのwelfare(健康、安全)であり、サポートするために手を差し伸べている。さらに、最初に対応した人とこの事件の影響を受けた人々の健康に深く留意している」とコメントしている。また、「Cruiseの自動運転車の性能をよりよく理解するために調査しており、この出来事についてサンフランシスコ市と連絡を取る予定」だとしている。

米メディアの報道によると、Cruiseは今回の事故が複雑なものであったことを認めているという。衝突事故が起こった交差点は、建物で大きく遮られているため、人間にとっても自動運転車にとっても、視覚的な識別がより困難になっており、物理的に確認するまで角の向こうにある物体を見ることができないと語っているようだ。

また同社の自動運転車には、消防車のサイレンなどを検知する機能が備わっているという。ただし、今回の事故では、自動運転車が対向の消防車を検知しブレーキをかけたものの、最終的に衝突を回避することができなかったようだ。


■DMV「自動運転車両、直ちに半減を」

DMVが米メディアに語ったところによると、現在DMVは事実関係を明らかにするため、Cruiseや法執行当局と連絡を取っており、稼働中の自動運転車両を直ちに半減するよう依頼したという。具体的には、昼間は50台以下、夜間は150台以下の車両数になる。調査が完了し、Cruiseが交通安全向上のための適切な是正措置を取るまでの要請となる。

■安全対策向上のブレイクスルーに

Cruiseはこれまでにも、消防車などの緊急出動車両の移動の妨げになるトラブルを起こしている。Cruiseと、同様にサンフランシスコでドライバーレスの自動運転タクシーサービスを展開しているWaymoの2社について、2023年5月時点での同様のトラブルは15件に上るようだ。

カリフォルニア公共事業委員会(CPUC)は先日、CruiseとWaymoに対し、新たな権限を付与することを承認した。これまで、Cruiseはサンフランシスコの限定エリアにおいて交通量の少ない午後10時から午前6時までドライバーレスの有料サービスを提供することが認められていたが、サンフランシスコ全土でドライバーレスの有料サービスが24時間提供可能になった。

消防車との衝突は、サービス拡大に向けさらに前進した矢先の事故となった。これを機に、あらためて同社の安全対策についてより精度を高める必要性がある。事故やトラブルを乗り越える策を練るときこそブレイクスルーが生まれ、DMVによる今回の車両の数半減要請も、技術やサービスの進化のきっかけになることを期待したい。

▼Cruise公式サイト
https://getcruise.com/

【参考】関連記事としては「GM系の自動運転タクシー、舗装途中のアスファルトに埋まる」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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