2025年に開催される大阪・関西万博でも運航される予定の「空飛ぶクルマ」だが、その実現のための必要インフラの1つである離発着場「バーティポート」の事業を手掛ける企業が増えている。その動きは韓国でも同様だ。
エアモビリティ向けのインフラ事業を展開する英Urban-Air Port、韓国空港公社、韓国のハンファグループでエアモビリティ開発などを行うハンファシステムの3社は、韓国でのバーティポート開発において提携することをこのほど発表した。
▼Urban-Air Port公式サイト
https://www.urbanairport.com/
▼Hanwha Systems公式サイト
https://www.hanwhasystems.com/en/
■そもそも「バーティポート」とは?
バーティポート(Vertiport)は、「Vertical(垂直)」と「Airport(空港)」を合わせてできた造語で、空飛ぶクルマが離発着する際の施設・場所のことを指す。「空飛ぶクルマ用のミニ空港」と言ったところだ。
【参考】関連記事としては「バーティポートとは?「空飛ぶクルマ」の離着陸場」も参照。
今回の戦略的提携により、韓国空港公社が所有する14の地方空港で、UAPのバーティポート技術とハンファシステムのUAM(Urban Air Mobility)技術を生かし、エアモビリティのインフラの設計や建設、管理、運用を行っていくという。
なおハンファシステムは韓国で初めてUAM市場に参入した企業で、実証実験なども行っている。今回の提携にあたり、同社CEO(最高経営責任者)であるSung-Chul Eoh氏は「欧州の革新的なUAMインフラにおける代表企業であるUrban-Air Portとの協業を通じ、さまざまなビジネス機会を創出することを期待している」と語っている。
また、韓国空港公社のCEOであるHyeong-Jung Yoon氏は「海外との協力関係を拡大することで、韓国のUAM関連技術の競争力を高めることに尽力していく」とコメントしている。
■業界をリードするUrban-Air Port
今回登場したイギリスのUrban-Air Portという企業について説明しておこう。
Urban-Air Portは2022年5月にイギリス中部の都市コベントリーにおいて、「世界初」とされるバーティポート「Air-One」をオープンした。同社によると、今後5年間で200以上のバーティポートを設置する計画だという。
Urban-Air Portは、ドローン関連技術を開発する日本企業のブルーイノベーションと業務提携したことを2022年6月に発表している。バーティポートの早期実用化に向け、共同開発や日本国内での実証実験を行うという内容になっている。
今回の韓国での提携について、Urban-Air PortのCEOであるAndrea Wu氏は「韓国の航空とエアモビリティのツートップと手を組むことにより、イノベーションや経験、専門知識などを集結させることができ、急速に発展するバーティポート分野で活用、実施する態勢が整った」と語っている。
またUrban-Air Portは、韓国最大手の自動車メーカーである現代自動車(ヒョンデ)グループである米Supernalとすでに戦略的提携を行っている。Supernalは現代グループのアーバンエアモビリティ部門をスピンアウトし2021年に設立された企業で、eVTOL(電動垂直離着陸機)の開発や既存の交通システムと次世代モビリティの連携に取り組んでいる。
今回、韓国空港公社並びにハンファシステムと提携したことで、韓国でのバーティポート開発により深く関わっていくことになった。
■日本の動きも含めて注目を
ちなみに日本においては、空飛ぶクルマが利用する離着陸場の呼称は、欧米と同様にバーティポートとすることが決まっている。
航空法では空飛ぶクルマは航空機に分類されており、バーディーポートは「空港など」に該当するとしている。空飛ぶクルマの離着陸時の運航形態はヘリコプターに近いため、バーディポートは「ヘリポートのうち空飛ぶクルマ専用のもの」と定義される。
韓国を含め世界で進むバーティポートの開発・整備。日本の動きも含め、注目していきたい。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマの離発着場、呼称は日本でも「バーティポート」」も参照。